■2009年12月23日:言葉の壁、文化・風習、そして習慣の違い
7年前にエジプト・トルコに旅行したのが暮れだったので、
毎年この時期になると思い出して色々回想に浸るのだが、
今年はサイバー大学のwebサイトを見ていた。
その中の吉村作治学長のエジプトでの
発掘に関するエピソード動画で、彼が面白いことを言っていた。
「日本の方とエジプトの方は、まあ一人ひとり違うんですけどね、違うんですよ。
こう、全体の雰囲気が違いますね。
例えばですね、日本では、一緒になって作業する人を集めますよね、
まああの非常に統率が取れていて、ピシッと言うことを聞くんですけども、
向こうの方は、言うこと聞かないんですよ。
というかね、皆さんひとつひとつ意見があるんですね」
全くその通りである。
吉村教授のコメントでも分かるように、何が違うのかと訊かれても即答に困るのだが、
とにかく「違うっ」という感じなのだ。これはタイ人でも中国人でも一緒である。
何も外国人が悪いと言っているわけではない。
向こうだって、「ケッ、何だよあの日本人野郎」と思っているかもしれない。
いや、確実に思っている。もしかしたら狙われているかもしれないwww
何が言いたいかと言うと、国が違う以上、同じ杓子定規は通用しないということだ。
私が務める会社でも、まず日系企業であるから、日本人はタイ人に
業務を指示する立場にある。私の赴任当初は、もちろん出張時代から
顔を覚えてくれている人物もいたのだが、何しろ未だタイ語をろくに話せないから、
何か指示しても、「あん?何言ってんだオメ」という感じでなのである。
そして教授のコメントにあるように、言うことを聞かない。
例えば椅子を1階に持って行けと言ったとする。で、実際には彼は2階に持って行った。
何で言うことを聞かないのかと訊くと、
「あの椅子は2階に置いとく方が便利だと判断した」ってな按配なのである。
このケースでは、これを頭ごなしに怒鳴り付けて、
「お前は何も考えなくて良いんだ。黙ってオレの言うことを聞いとけ」という処置は誤り。
何故か?冷静に事態の結末を振り返ってみよう。何故彼は私の言うことを訊かなかったのか?
相手ももちろん一人の人間だから、個々に意見を持っている。
この場合、彼は要するに私のことを未だ信用していないのである。
私は日本から来た自分より高位の人物なのだから、言うことを聞いて当然なのであるが、
作業者の方にしてみれば、このような自問が働いているのである。
・日本から来た彼は果たして責任を取れる人物なのだろうか?
・本当に現場のことを知っているか?
・未だ日が浅いのだから、自分の方が正確な判断を下せるのではなかろうか。
・万が一彼が指示ミスをしていたとして、その通りの作業を行った場合、どうなるか?
・全てがお釈迦になるような最悪の事態だけは避けねばならない。
つまり、信頼関係の構築が必要なのである。それは簡単なことではないから、
とりあえず、この場でのミスは自分が甘んじて受けねばならない。
さて次回失敗しないようにするにはどうすれば良いか?
一口では言い表せない。それこそ「一人ひとり」違うからだ。
最初は、ミスを繰り返さないためにも、完全に相手が一人で出来るようになるまで、
彼の業務を毎回最後まで見届けるしかない。
「言っておいたのに言った通りにやっていない」というのは指示した人物が悪い。
彼が途中はもちろん、最終段階を確認していなかったのがいけないのだからだ。
また、指示した相手が「任せても大丈夫な信頼に足る人物」という判断を誤った。
改善の仕方は色々あり、必要なのはもちろんコミュニケーションを図ることなのだが、
人間同士なので性格による好き嫌いもあるから、一概に決定的な対策は無い。
個人差を考慮して、相手によって方法を変えねばならないこともある。
ただ一つだけ確かな事は、”時間が掛かる”ということだ。
一週間2週間だけで結果を出そうとしてはいけない。
しかし何より、現地国の言葉を覚えるのがまず先だ。
それによって、相手もこちらが自分たちの世界を理解しようと努力している、
と考えてくれるからだ。