■2011年9月21日:妻との喧嘩
先ほど妻と喧嘩をした。
怒った彼女は家を出て行った。
お気付きの方もおられるだろうが、私のブログ(というかHP)の記事というのは、
作り溜めしてこれはいついつ掲載、こっちは何月何日にUPしよう、
というふうに計画立てて順次掲載している。
つまり今回の記事は予定外で計画表には無かったのだが、
面白いので後回しにせずに特別編として掲載する。
さて、妻が出て行ったというのは鍵とキーカードと電話だけ持って出て行ったので、
お姉さんに告げ口でもするのだろうと考え止めなかった。
そんなことでいちいちご機嫌取りをしていてはきりが無い。
何しろ、怒ったというか彼女は黙って出て行ったので、
怒ったのかどうかすら分からなかったのだ。
事の顛末はこうだ。
私が仕事から帰宅して、妻と一緒に食事中に娘(犬)が面白い姿勢をしていた
(夕食時は食べ物が目当てではなくて帰宅直後の私に甘えて、
擦り寄って膝に乗っかってきたりするのだ)ので、妻にカメラを持って来てくれと頼んだ。
彼女はカメラを取りに立ち上がったが(直ぐそこ)、
何をトチ狂ったのかカメラではなく蚊がいた、と騒ぎ出しカメラそっちのけで
蚊の相手を始めたので、私は蚊なんか良いから早くカメラを持って来てくれと頼んだのだが、
結局妻は蚊の退治を優先し、騒いだために娘の態勢は崩れてしまった。
妻は蚊は大量に血を吸っていたと、まるで戦利品のように蚊の死骸を私に見せに来た。
私は呆れて蚊など後でいつでも殺せるし、メルのベストショットは機を逃したら
滅多に同じチャンスは訪れない。君も知っているだろう、と説明した。
あまつさえ蚊の奴が吸ったのは帰って来たばかりの私ではなく、
君の血を吸ったのであって、そんな蚊の始末なんてオレの知ったことじゃないし、
だいたい普段網戸も扉も開けっ放しなのは自分だろう、と言ってやった。
バンコクのアパートは外国人向けだから網戸があるが、普通タイの一般家庭には網戸など無く、
従って洋服ダンスの扉を閉めることすらお留守な習慣があるのだ。
するとしばらくして(ここが味噌で、一触即発ではなく考えている間があるのだ。始末に負えない)
妻は何を思ったのか食い物を洗いざらい流しにぶちまけて、冒頭にあるように出て行った。
私は直ぐに戻るだろうと判断し(別に戻らなくても良いけど。え、まずいって?)、
面倒臭いので後は追わなかった。
彼女は案の定2時間ほどして戻ってきたが、プリプリしており
何といきなり娘を殴り付け、娘は撥ね飛んで(本当)向こうの方にすっ飛んで行った。
ビックリした娘は部屋の隅っこに行って戻って来なかった。
私も同様にビックリした。妻が娘にこんなことをするのは初めてだ。
何やら妻は「今日はあんたが悪いんだから、あっちに行ってなさい!」
というようなことを喚いていた。自分が勝手に怒り出したんだろうがよ・・・
彼女が娘を殴ったのは、寝室から居間に追い出す意図があったようだ。
だが犬に八つ当たりするのは良くない。
いや、やっぱ世の中かあちゃんより怖いものは無いわ。
我々も世間の大多数の夫婦同様、痴話喧嘩は日常茶飯事である。
通常、多くの場合は大抵男が悪いので、私が謝って終わりである。
何しろ私の妻は”泣く”という武器を持っているので、一緒になって怒っていたらこっちの身が持たない。
会社でハードな一日を過ごしてきて、家でまた揉めるのなんてごめんである。
ところが、ケースによってはどうしても外国人同士なので、相手が何故怒っているのか分からない、
或いはやはり面倒臭いのでいちいち問い質さない、ということがある。
そんなときはどうするのかというと、放って置くのである。
何を詰られても知らん顔。触らぬ神に祟りなし、だ。
我が家はタイ語の一方通行である。妻に日本語は教えていない。私のタイ語が上達しなくなるから。
が、それはタイ語力の向上という都合の良い反面、当然デメリットもある。
残念ながら私はネイティブではないので、基本的な日常会話の域を超えると、
一旦脳味噌に入ったタイ語を咀嚼して日本語に変換するタイムロスが生じるのだ。
どう頑張ってもリソースが足りなくなって、聞くのも話すのも追い付かなくなる。
妻はその辺が理解出来ないのでもどかしいらしいのだが、分って欲しい部分である。
通常は、夫婦間の愛情故、分ってもらえる。但し怒り心頭に発している場合はその限りではない。
最後の手段は、タイ人が好んで使う言い逃れ文句を口にしてやるのだ。
「君のタイ語は分からないよ」
正確に言うと、全部が分からないというわけではなくて、怒って早口でまくし立てられると分からない、
ということなんだけどね。まあ、いいや。疲れたよ。
良くある出来の悪いドラマなどではありがちなシーンだ。
妻はこう言う。「女はキチンと説明して欲しいのよ」
ふざけるんじゃねえよ、と言いたい。
一体何様のつもりなんだよ?と、言いたくなる。
あ、奥様ですか。はい、失礼しました。
男の回答も目に浮かぶようだ。
曰く、「こっちは仕事もしなきゃならないし、色々あって大変なんだよぉ」
私はそんなことは言わない。それでは回答になっていないし、
女性の言い分はもっともだ。彼女らだって家事をしてくれているのだから。
だが、やはり仕事から帰ってくると思うのである。
怒れば済むと考えているんだから楽なもんだよね。
少しは相手から回答を引き出すにはどのように言えば良いか?頭をひねってもらいたいものだ。
まあそれをしなかったからといって食いっぱぐれるわけでもなし、
妻に同じことを求めるのはどだい無理な話だろう。
結婚したことで今まで分からなかったことが色々と見えてきて、
妻にはそれなりに感謝している一方、いつまで経っても女心というものは分からない。