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■2012年2月12日:暗殺者

クリックして拡大  原題:THE BOURNE IDENTITY (1980年アメリカ)
 著者:ロバート・ラドラム
     Robert Ludlum/1927-2001 アメリカ生
 文庫初版:1983年12月25日 新潮文庫
 第29刷時価格:2002年12月10日 上・下とも629円
 巻数:上下巻
 品番:ラ5-1
 管理人読了日:2005年8月12日
 映画化:2002年、ユニバーサル・ピクチャーズ、アメリカ
 映画題名:ボーン・アイデンティティ(原題と同題)
 映画主演俳優・女優:
 マット・デイモン
 日本語DVD化:2005年
 ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン株式会社

ロバート・ラドラムは作品の映画化を見届けることが出来ずに世を去ってしまった。
死後に発表された作品もある。

個人的には、その作品には面白いものとつまらないものと両方あるように感じているのだが、
最初に触れたのはそのつまらない方で(たしか「シグマ最終指令」だったと思う)、
その後しばらく忘れていたのだが、再帰したのが「暗殺者」。
古本屋をブラついていて見つけたのだ。


主人公のジェイソン・ボーンは国際テロリスト、イリイッチ・ラミレス・サンチェス、
通称カルロスを追うCIAのエージェント。
彼は本作で知り合うことになるマリーという女性と結婚し、
妻を愛する大学教授、デイビッド・ウェブという表向きの顔も持つ。

物語は一度カルロスに敗北したボーンがからくも脱出するものの、記憶喪失に陥ったところから始まる。
親組織であるCIAは彼がKIA(KIlled In Action、戦死)したものと考えていたところ、再び出現したボーンに対し、
元々汚い性質の組織であるから、確認もせずにボーンが裏切ったものと判断し、刺客を送り込む。

元所属機関の刺客をかわしつつ、どうやってカルロスを仕留めるか−−−ストーリーは緊迫した状況が展開する。

ジェイソンは「カメレオン」とも呼ばれる変装の名人で、数々の危機を様々な変装で切り抜ける。
そして変装の名人であるのはカルロスも同じことで、両者互いに −乞食や聖職者など−
変装合戦を繰り広げる。

独特の謎めいた雰囲気を持つボーン・シリーズは、気が付くと物語に引き込まれている。


この作品はどちらかというと今の視点で見ればマット・デイモンの名を上げた映画の方が、強烈な印象がある。
何よりその多芸な能力と、他を寄せ付けぬ無敵のアクションが素晴らしい。
映画はやはり時代設定が現代にフューチャーされ、ボーンは今時の工作員という設定なので、
さもありなんという感は残るものの、マット・デイモン自身の人柄と迫真の演技が観るものを飽きさせない。
彼は、例えば人が誰かを殺めた際に見せる悲嘆など、何とも言えない悲哀の表情を見せる、良い俳優である。

しかし、深みがあってのめり込めるのはやはり小説の方だ。


ジェンソン・ボーン・シリーズは以下の3部作から成っている。

第一作:暗殺者 (THE BOURNE IDENTITY)
第二作:殺戮のオデッセイ (THE BOURNE SUPREMACY)
第三作:最後の暗殺者 (THE BOURNE ULTIMATUM)

実際にカルロスとの決着が付くのは最後の最後である。
この中で、映画では第二作で彼の妻のマリーが殺されているが小説とは全く異なる構成であり、
小説は第一作目はパリ、第二作目は中国、そして最終作である第三作目では
カリブ海の小島からパリ、モスクワへと舞台を移動してジェイソンとカルロスの死闘は続く。
一作読んだら他の二作も直ぐに読みたくなること請け合いだ。


ジェイソン・ボーンを主人公とする作品は、エリック・ヴァン・ラストベーダーがさらなる続編を綴っており、
こちらもなかなかに手に汗握る仕上がりとなっているので、そちらも合わせてお読みいただきたい。

デイヴィッド・ウェブはまた政府職員として東南アジアに赴任中に「ダオ」というタイ人女性とも結婚しており
(ダオ、またはダーオというのはタイ語で「星」という意味。まあ有りがちなN/Nなのだが)、
その女性は子供達共々ベトナム戦争中に亡くなってしまい、それがジェイソンがCIAのエージェントになった
遠因でもあるのだが、この辺のくだりも同じタイ人女性を妻に持つものとして、興味が持てる。
もちろん、私が本書を読んだのは妻と結婚する前のことで、未だ付き合ってもいなかったが
(存在は知っていた)。

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