■2012年4月10日:私が愛したリボルバー
うう・・・これ読んだのって、今の会社に入社したばっかりのときだヨ!
日付を記しておくと、そんなことが分かるんだな。
ステファニー・プラム・シリーズの作品は中盤(未だ完結はしていないが)位が一番面白いのだが、
まあ入門編として第一話を紹介しておこう。
市場動向は分からないが訳者あとがきを読む限り、本シリーズは本家アメリカのみならず、
日本のその筋の読者達の間でもブレイクしているとか。
ドタバタなストーリーがコメディを好む向きには受けるのだろう。
本書の主人公、ステファニー・プラムの職業は、賞金稼ぎ(バウンティー・ハンター)。
賞金稼ぎと言っても、何も文字通り映画みたいなアドベンチャーな職業ではない。
ここでいう賞金稼ぎの対象は、アメリカでの話だが、保釈金逃亡者の事だ。
裁判が始まるまでの間の自由を得るために必要な保証金を払えない連中は、保釈保証会社から
借りるわけだが(保釈金は裁判が始まれば返金される)、それを踏み倒そうとする連中がいるので、
捕まえなければならない。その逃亡者逮捕請負人を俗にバウンティー・ハンターと呼ぶらしい。
文章だけで判断すると一見地味な職業だ。
そうは言っても、賞金稼ぎの対象になる人間は、そもそもお縄につくような連中なのだから、悪人なのである。
本シリーズはそういった保釈金逃亡犯達のキャラクターが滑稽で堪らない。
そして何より脇役が良い。主人公のいとこであり保釈保証会社の経営者で、テレフォン・セックス愛好家のヴィニー。
そして主人公の大先輩で元特殊部隊兵士である、錠前破り(鍵を開けずに屋内に侵入できる)のレンジャー、
心は20代、葬儀への参列が趣味のメイザおばあちゃん。
第2話以降主人公の親友となる黒人の大女、ルーラ。
さらにはだいぶ後になってから登場するのだが、オカマのロックシンガー、サリー。
(主人公の幼馴染の恋人モレリは私にはあまり面白くない)
主人公はあまりデキの良いバウンティー・ハンターではないのだが、これら友人達の力を借りて、
何とか難問を解決していく。
そんな成長ストーリー。
第一話の本書ではステファニーは前述のモレリをしょっぴくのが初任務。
モレリは警官なのだが殺人容疑で現在停職中である。
その彼を捕まえるんだかよりを戻そうとするんだかの過程で、
もっと極悪なヘビー級ボクサーと、その舎弟のチンピラどもが話に絡んできて大騒ぎ。
軽快なテンポで進行するストーリーはさくさくページが進む。
またステファニーは(本人が好まざるとも)愛車を爆破させることでも有名だ。
各話毎に1台は破壊しているのではないだろうか?
このあたりも見どころである。
巷では良くろくに本など読まない連中が”軽い本”などという言い方をすることがあるが、
ステファニー・プラム・シリーズはその部類だろう。
但し、傑作であることは事実だ。
著者のジャネット・イヴァノヴィッチの作品には、ステファニー・プラム・シリーズ以外にも、
未だ刊数は少ないものの”フルシリーズ”、”メトロシリーズ”等がある。
けれども私はステファニー・プラムが一番面白いと思う。
ステファニー・プラム・シリーズは、それ自体番外編を含んでいるのだが、本編シリーズは
話数に応じて原題に数字を配することでも有名だ(第一話の本作は”ONE”)。
アメリカでは本年映画化された模様。早く見たいものである。