■2012年12月15日:外人部隊
原題:THE EAGLE AND THE SNAKE (1992年イギリス) | |
著者:ダグラス・ボイド Douglas Boyd/ イギリス生? |
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文庫初版:1998年7月24日 創元ノヴェルズ | |
再版時価格: 上/下とも:820円 | |
巻数:上下巻 | |
品番:Nホ-4-1,2 | |
管理人読了日:1999年3月6日 | |
映画化:未 | |
映画題名:未 | |
映画主演俳優・女優:ー | |
日本語DVD化:ー |
またかなり古い小説を紹介する。
著者ダグラス・ボイドは日本ではあまり知られていない作家である。
当時の訳者あとがきに「イギリスの冒険小説界にまた新星が現れた」とあるくらいなので、
新進気鋭の作家なのだろう。
しかしながらかなり面白かったので、私にしても複数回読んだし、
内容もよく覚えている。
ベトナム戦争を題材にした作品はいくらもあるが、本書はインドシナ戦争を舞台にしている。
日本語表記ではあまりに分かりやすいタイトルだが、
原題のTHE EAGLE AND THE SNAKEとは、フランス外人部隊の徽章である。
その由来については本書の巻末にも掲載されているし、私が知ったかぶりをする必要はないだろう。
本書は要するにベトナム戦争でのフランス外人部隊を題材にした作品である。
とは言っても、主人公達の当時の記録が語られているが、
全体としてはインドシナ戦争当時の因果による陰謀、というのがストーリー。
主人公のフランス外人部隊ラウル・デュバリエ大尉と同ケーニグ大尉は、ベトナムで苦難を共にする。
(この部分の描写はかなり恐ろしく書かれているので、読むのに多少勇気がいる)
二人はベトナムで金貨の山を発見するが、ラウルは戦争で捕虜になり、監禁され、釈放後に
捕虜にはならなかったケーニグが戦後も在隊し鍛えた部隊の後輩達と一緒に、
故郷で会計士の仕事をしていたラウルに金貨を発掘しに行く作戦を持ち掛けてきた。
しかしながら、小説として当然すんなり行くわけがなかった・・・
簡単に書いたが、各登場人物の経歴の書き込みは詳細に渡り、
ベトミンの政治将校の人物像の作り込みもたいしたものである。
とても処女作とは思えない。
フランス外人部隊といえば、有名かつ勇猛なことで知られる。
そしてまた常に悲劇が付きまとう部隊でもあり、
その性質上フランス人の入隊は将校として以外認められていない。
本書は後日譚の部分こそやや間延びした感があるものの、
本編はリアリティ溢れる仕上がりになっており、読み応えは十分である。
本書でインドシナ戦争が分かるとは言えないが、
著者は外人部隊に在籍していたか、外人部隊の引退兵に知人でもいるのでは
ないかと思われるくらいである。