■2014年5月3日:暗殺者グレイマン
新進気鋭の作家。
だがまだその素性の多くは明らかになっていない。
HPもあるようなので、気なる方は一度見てみても良いだろう。
本書の主人公のグレイマンことコートランド・ジェントリーは、凄腕の暗殺者で隠密行動が
得意なことからこの綽名が付いた。
本書の冒頭では既に暗殺者として勇名を馳せていたグレイマンだが、
何故か雇用主から裏切られて刺客に襲われ、正体不明の組織から狙われる。
ナイジェリアの大統領と癒着した石油パイプラインの製造会社とその保安組織など、
設定としてはバカげており本書の内容を真に受けるバカはいないだろうが、
エンターテインメントとしては超一流の出来栄えだ。
面白くてどんどん読んでしまう。
グレイマンは中欧からフランスを舞台に暴れまわる。
その威光はグレイマンの芯は正義の味方である、というところで頂点に達する。
不安定な情勢のこの時代、新ヒーローの誕生だ。
例えるならアメリカのアクション映画に似ている。
つまらないと言いながら2時間しっかり観ている。
いわゆるジェット・コースター・ノベルであり、ひとまず第一作はその栄誉に値する。
但しこのグレイマン、無敵のランボーではなく、等身大のヒーローで、
負傷に次ぐ負傷で満身創痍の体で何とか危機を潜り抜ける、
”火事場のクソ力”型のヒーロー。
そんなところがこの作品を盛り上げているのかもしれない。
本書でグレイマンは元の敵役の親玉から逆雇用される形となり、
第2作「暗殺者の正義」では、本作からの続きであり、
グレイマンが負傷を癒すところから始まる。
マーク・グリーニーの作品はこのグレイマン・シリーズが既に3冊上梓されており、
私はまとめて買ったので、しばらくは夢中になれそうだ。