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■2015年9月9日:極秘偵察

クリックして拡大  原題:BLACK SITE (2012年アメリカ)
 著者:ドルトン・フュアリー
     Dalton Fury/19??-2016 アメリカ生
 文庫初版:2014年8月15日 ハヤカワ文庫
 初版時価格: 1,060円
 巻数:単巻
 品番:フ37-1
 管理人読了日:2015年4月26日
 映画化:未
 映画題名:−
 映画主演俳優・女優:− 
 日本語DVD化:−

著者は元米陸軍特殊部隊(デルタ・フォース)出身で、
2011年のウサマ・ビン・ラディン殺害に関しても
(その作戦を実施したのは海軍のシールズだが)、著作がある。

それだけの人物が著した作品だから、そのリアリティはもちろん、スリリングな展開も太鼓判で、
あとがきで訳者に書かれるまでもなく、読む手が止まらない。

確か、私が読み終わったのも夜中の2時とか3時だった。


主人公のコルト・レイナーは特殊部隊員を除隊させられ、
いわば世間のあぶれものの生活を送っていた。
そんな彼のもとに元部隊の上司の使いのものが訪れ、コルトの除隊の一因ともなっていた、
戦死したと思われていた親友でもある特殊部隊員が、
タリバンだかアルカイダだかに囚われの身で生きているかもしれないという。

当然のごとく二つ返事で捜索を承諾するコルト。
しかしながら、こんな危険な世界でそのような試みが一筋縄でいくはずもなく、
コルトは幾度も危機一髪の状況に陥り、その度にデルタ・フォースとしてのスキルを発揮して、
からくも危機を乗り切る。

また最近のISILを代表とする中東のテロ組織には、欧米人の流入が報道されているが、
本書でもそんなコマッタ・チャンが登場し、国際問題の一端を垣間見ることができる。

海外小説の魅力は、異国情緒を楽しめる点にある。またその辺りの描写にどれほど迫力があるかが、
著者の腕の見せ所でもある。
ヨーロッパだの中国だのを描写した作品はいくらでもあるが、さすがにアフガニスタンというと、
危険だから行ったことがある作家もおらず、分からないことづくめだ。
ところが現役時代に幾度も訪れているドルトン・フュアリーには、それができる。

そんな期待を裏切らないアフガニスタンの場末の光景を楽しみつつ、物語は大詰めを迎える。
しかも、今作の悪玉はデルタの追撃を振り切って生き残り、何だか続編を匂わせるような憎い演出だ。


ハヤカワ・ミステリーの新人作家・新作は期待を裏切らない。
ドルトン・フュアリーの作品は本国米国では本書も含めて既に4作が上梓されているとのこと。
一刻も早く日本語版の刊行を期待したい。

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