■2018年3月24日:アラスカ戦線
原題: ALATNA (1964年ドイツ) | |
著者:ハンス=オットー・マイスナー Hans-Otto Meissner/1909-1992 ドイツ生 |
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文庫初版:2016年1月15日 ハヤカワ文庫 | |
初版時価格: 1,060円 | |
巻数:単巻 | |
品番:NVマ4-2 | |
管理人読了日:2017年6月5日 | |
映画化:未 | |
映画題名:− | |
映画主演俳優・女優:− |
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日本語DVD化:− |
アッツ島というと、第2次大戦中、日本軍が初めて敗北、玉砕した地であることから、
ご存知の方も多いだろう。
本書はそんな同島に日本軍が飛行場を建設し、米本土への空襲の足掛かりとしようと
企図した計略に端を発する。
そして、あわよくばアッツから米本土の都市に達する際に、
アラスカを中継地とするべく(爆撃機を一旦アラスカに着陸させる)、
日高大尉らを中心とする調査隊を送りこむ。
日高隊は、現代で言えばいわゆる特殊部隊のようなものだ。
対するアメリカも、日高隊の活動開始後、無線交信をキャッチし、
彼らを狩るべく自然保護局の役人であるアランをリーダーとして、
軍民共同チームを派遣する。
どちらかというとアメリカ軍の方が少々間抜けに書かれているが、
極寒の地のこと、両軍とも自然災厄や思わぬ獣によって、
徐々に隊員は減っていく。
そして原住民の存在も欠かせない。
彼らの滞在は1年以上に渡っているから、
残り100ページくらいになると、もうだいたい結末は見えてくるのだが、
その辺のところを語っているようで匂わない、絶妙なバランスが堪らない。
本書は大自然でのサバイバルに関しても学べる。
火の熾し方、罠の掛け方等々、驚きも尽きない。
少々古い小説ではある。
著者はドイツ人、というところも興味深い。
どちらかというとアメリカより日本人寄り、
という作風は著者の出身の影響もあるかもしれない。
ぜひご一読をお勧めする。