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■2021年11月15日:大統領失踪

 原題:THE PRESIDENT IS MISSING (2018年アメリカ)
 著者:ビル・クリントン
     Bill Clinton/ 1946年 アメリカ生
     ジェイムズ・パタースン
     James Patterson/ 1947年 アメリカ生
 文庫初版:2020年12月15日 ハヤカワ文庫
 初版時価格: 940円(上下巻とも)
 巻数:上下巻
 品番:NVク27-1,2
 管理人読了日:2021年4月27日
 映画化:未
 映画題名:−
 映画主演俳優・女優:−
 
 日本語DVD化:−

クリントン米元大統領の作品。
クリントン元大統領といえば、1993年から2001年まで、
ブッシュ前大統領より引き継ぎ、2期に渡って任期を務めた。
その当初は湾岸戦争直後の困難な時代のことゆえ、
さぞ波乱万丈の舵取りであったろう。

夫人のヒラリー氏の政治の世界での活躍は報道でよく目にしたが、
クリントン氏の退任後の活動は大々的には報じられなかったので、
何をしていたのかと思いきや、小説、それも本格的なスリラーを執筆していたわけだ。

著名な共著者がいるとはいえ、
腕前拝見、とはおこがましいが、腰を据えて読んでみることにした。


上巻の前半は政争がらみの話が長く、退屈だったが、
中盤で撃ち合いが始まるや、俄然面白くなる。

下巻の後半はほぼ一気に読んでしまった。

話の内容としては、主人公は現役米大統領で、
話題はコンピューター・ウィルスだ。

それが、テロリスト自体はお約束のイスラムの狂信者なのだが、
政権内に裏切り者あり、背後で糸を引くどこかの国ありで、
まったく展開が読めず、
上述のように上巻の後半以降は目が離せなくなる。

そして、最後の追い込みのところで、予想もしていない結果が待っていて、
見事見破る主人公の大統領の技量に、
クリントン元大統領の作家としての真価が垣間見える。

前述のイスラムの狂信者がトルコ人というのも、
エルドアン大統領の下、急速に西側から離れつつあるトルコに対する、
ささやかな当てつけに見えなくもない。

タイトルの「大統領失踪」は、まあそういうシーンもあるということで、
単なる飾りだ。


というわけで、デビュー作としては大変な快作で、
クリントン元大統領の政治家以外の才能が完璧に開花している。

次作もあるそうなので、期待して待ちたい。


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