■2024年2月18日:陸軍戦闘機隊の攻防
原題:タイトルと同題 (2011年日本) | ||||
主な著者 | 最終階級 | 最終撃墜機数 | 生没年 | |
荒蒔義次 樫出勇 小林照彦 黒江保彦 上坊良太郎 生井清 檜與平 山下美明 |
中佐 大尉 少佐 少佐 大尉 少佐 少佐 少佐 |
33 5 51 30 16 12 2 |
1915-2004 1920-1957 1918-1965 1916-2012 1920-1991 |
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文庫初版:2016年5月20日 光人社NF文庫 | ||||
初版時価格: 860円 | ||||
巻数:単巻 | ||||
品番:くN-948 | ||||
管理人読了日:2024年1月4日 | ||||
映画化:未 | ||||
映画題名: | ||||
映画主演俳優・女優: |
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日本語DVD化:− |
本書は旧陸軍航空隊の空中勤務者(戦闘機操縦者)として、
大戦を生き残ったパイロットたちの記録である。
エース、もしくはエースならずともそれに劣らぬ猛者たちの肉声として、
その一文一文には声にならぬ迫力がある。
航空技術に出遅れた日本にとって、
性能で劣る戦闘機を苦心の末操縦し、敵機と相対する血のにじむような努力。
中には飛ばすのがやっと、という状態であることも。
荒蒔中佐などは航空審査部のテストパイロットとして、
飛行機を飛ばす傍ら、技術的な見解なども見られ興味深い。
日本の場合、後方指揮に甘んじる指揮官が多かったといわれる中、
本書に文を寄せた人たちの多くは戦隊長・中隊長として率先指揮していた人々だ。
追憶も迫力あるものとなるのが必然だ。
本書でも空威張りするだけの中隊長や、笑い話にはならないのだが
中でも面白かったのは小林照彦少佐の詳述。
いわゆる特別攻撃隊というやつだが、末期は別として初期の頃は、
軍全体ではなく、陸軍も海軍も部隊指揮官の裁量に委ねられていた。
それで、ある部隊の中に通常通り戦う本体と、
別枠で例えば「震天隊」というように少数編成の、
志願者による体当たり専門部隊を設けたりしていた。
ただし体当たり攻撃は、特に小林少佐の飛行第244戦隊のように防空専門の場合、
弾が尽きたからといって、体当たりが自然発生的に行われていた。
しかも、体当たりを何度も行って、そのたびに落下傘降下して生還している者すらいた。
ところが震天隊の隊員の体当たり戦死者は、二階級特進ということになっていたのだが、
一般隊員には適用されなかったため意見具申したところ、
「死ぬのは当たり前だ。規則ができているから駄目だ」と言われて
少佐は頭にきて「馬鹿野郎」どなりつけたらしい。
これら現場の苦難を思いながら作る模型に楽しみがあると考える、
私のようなモデラーにとって、最終章の雑誌「丸」編集部による
開発中の試作機などの紹介は余計だ。
あくまで実用機だから歴史があるのであって、
たらればを言っていても仕方がない。