■2011年6月28日:タイの下院総選挙
タイの下院総選挙の投票が6/26に行われた。
私の妻も投票に行ってきた。亭主である私は外国人なので、もちろん投票できない。
そこで、留守番しているのもつまらないので、外に出て選挙ポスターを眺めてきたのだが、
その取材の成果と合わせて、身内にタイ人がいる強みを生かしてタイの総選挙を概況してみたい。
総選挙は各種メディアでは7/3と言われているが何故6/26なのか疑問だろう。
ここで面白いというかバカバカしいタイの選挙システムについて
予備知識として少し解説しておきたい。
タイの選挙制度では身分証明書に登録してある住所のアンプー(市とか群とか区のこと)で
投票しなければならないため、田舎からバンコクに出稼ぎに来ているような人々は
前もって6/26に投票できるらしい。もちろん、会社に一筆書いて貰う必要がある。
何故専業主婦である私の妻にそれが出来たのかというと、
そのような場合は通常区役所なりに行って書類を書いて貰わなければならないのだが、
彼女の場合過去に会社の近所の投票所で投票したことがあるので、
その時の控えを持って行くことで投票が可能になるというものだ。
つまり、過去に投票したことの無い場所では投票できないということだ。
これが、私の妻が我が家の近所で投票出来ない理由である。
では何故妻は住所変更していないのか?
これは、日本と違ってタイのような第三国では、手続きが非常に厄介であり、
日本では住民票を変更することなど大した手間ではないという感覚があるが、この国ではそうはいかない。
まず、日本のようにフォーマットをインターネットからダウンロードして
区役所に郵送で送ると必要なものがやはり郵送で返ってくる、というようなシステムは未だ無い。
加えて、過去にも紹介したように郵便制度そのものが不安定なこの国では、郵送は頼りにならない。
さらに、日本のように役所が近所にあって、電車もバスも整備されており、
人々は一般的に成人男女であればマイカーを持ち、信号によって整理された道路を走れるわけでもない。
タイの道路事情は文字通り滅茶苦茶であり、何時何処が渋滞するか分からない様な体たらくで、
役所など朝行っても処理が終わるのは夕方なんてことはざら、いやもとい、
その日のうちに必要なものが手に入れば運が良い方だ。
おまけに写真のサイズが○cmに2mm足りない、などと係員にのたまわれようものなら、
私だったらそいつの首を絞めているだろう。
そんな事情があればこそで、私の妻も特に必要が無いので住所変更はしていなかった次第。
従って、6/26当日はかなりの人々が投票を行った模様で、
投票所は人が歩けないほどの混雑ぶりだったとのこと。またポリが出張っており撮影禁止だったらしい。
肝心の利便性の改善には無頓着で、体裁に影響しそうな恐れのある事柄など、
どうでも良いことに神経を使うのがこの国の有りのままの姿なのである。
ところで「選挙」はタイ語で「ルアック タン」という。「ルアック タン」だけだと「選挙する」という動詞なのだが、
皆普通に使っている。もっとも外国人である我々に分かりやすいようにとの配慮かも知れないが。
無駄話をだいぶ書いたが、この辺でいよいよ立候補者の面々をお披露目しようと思う。
妙な撮影具合の写真しかないが、もともと外国人である私が選挙ポスターの撮影をしていること自体、
不審人物全開なのでご容赦願いたい。
アピシット氏もご出馬。 タイ民主党 |
タクシン元首相の妹。 タイ貢献党 |
選挙ポスターの状態を見る限り、そこそこ妨害工作はあるようだが、
さすがにアフリカあたりの国と違って、選挙そのものが成立しなくなるような事態にはならないだろう。
タイの選挙ポスターは、赤ん坊やら年寄やら風景の写真やら、何をアピールしたいのか
良く分からないものがあり、さらに面白いポスターが下の4枚。
これらは何が言いたいのかと言うと、政治家を動物になぞらえて、ノーの欄に×印を付けましょう、との内容。
(タイの選挙の投票用紙には「ろくなのいないじゃん」という時のために「ノー」という欄があるらしい)
これらは2008年11月に空港を選挙した「PAD(民主市民連合)」という連中の反選挙運動。
こいつらは民主党のシンパ
一般に途上国の途上国である原因は、政治家を代表とする金持ち連中の傲慢さである。
確かに、世の中には本当に本質的に邪悪な人間というものがごく僅かにいるものだが、
それが、暑い国というものはどうも怠け癖が出るもので、怠けると働きたくなくなるし、
働かなくても金があれば何でも解決できるとあって、腐敗して行くのである。
彼らは、誠に口先だけであり、自分の事しか考えていない。
アピシットなどはインテリであり、もろにこれに該当する。
彼の顔付きを見れば分かる。彼は間違いなく富裕層出身の顔だ。
もちろん、色々と罪を犯したタクシンは、逃亡初期にどこだかのサッカーチーム
(バンコク・マッド・ヘンズだったか?)を買収したりなんぞしているところからも、
間違いなく有罪である。
タイ貢献党は政権を獲得した際に「政治関連犯を免罪とする恩赦を請求する」、
という意味の分からない公約を掲げているらしい。
裏には「タクシン元首相の免罪」という真の目的が見え隠れしている。
こんなことが実現してしまったら、本当にこの国はおバカさんの集団だろう。
これが、途上国の指導者の実態である。要するに誰が当選しても結果は見えている。
しかしながら今回の選挙では、前述のように有力候補として
タクシン元首相の妹も参戦していることで、”初の女性首相誕生か”との話題も盛んだ。
”男が働かない”ことで評判のタイには、案外その方が良いのかもしれない。
タイ貢献党の一議員 こんな美人にだったら国を任せても良い!? タイでは過去にも若い女性の議員立候補者がいる。 |