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■2012年1月9日:戦争の犬たち

クリックして拡大  原題:THE DOGS OF WAR (1974年イギリス)
 著者:フレデリック・フォーサイス
     Frederick Forsyth/1938- イギリス生
 文庫初版:1981年3月20日 角川文庫
 第25刷時価格:1994年5月30日 上:560円 下:520円
 巻数:上下巻
 品番:フ6-3,4
 管理人読了日:1995年7月7日
 映画化:1981年、ジュニパー・フィルムズ、アメリカ
 映画題名:小説と同題
 映画主演俳優・女優:
 クリストファー・ウォーケン
 日本語DVD化:2003年
 20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン株式会社

言わずと知れたフォーサイスの名作が小説ブログ第3弾に登場。
映画では第2弾で紹介した「燃える男」にも出演する、クリストファー・ウォーケンの若き日の姿が見られる。

フォーサイスと言えば、「ジャッカルの日」で知らぬ人はいない、諜報小説の巨匠。
物語の最後に大どんでん返し(という言葉を私は好きではないのだが)を必ず持ってくることでも知られる。
私は、姉に「ジャッカルの日」を薦められて読んだのがフォーサイスを知る切っ掛けとなった。

多分、この種の小説が好きな人ならフォーサイスの作品はすべて面白いと感じるのではないだろうか。
私も「ジャッカルの日」を始め「オデッサ・ファイル」も「神の拳」も最近の作品では
「アヴェンジャー」も「アフガンの男」も片っ端から読んだが、最後にはやはりこの「戦争の犬たち」に
戻ってくるのである。

フォーサイスはジャーナリスト出身であり世界中を見てきたことから、赤道ギニアでのクーデターを目論み、
これは実際に実行され途中で頓挫している(阻止されたというべきか)のだが、
本作はその時の経験がベースになっている。つまり、大変ドキュメンタリーチックな作品なのだ。
フォーサイスは言うに及ばず、この分野が初めての方でもぐいぐい読めること請け合いだ。

傭兵などというものは、はっきり言ってドラマや映画や小説の産物であり、
実際傭兵稼業で財を成すことなど、可能性的にスティーブ・ジョブズ並みに儲けることと
同じ位困難なのだが、物語はフォーサイスのリアリティ溢れる筆致で展開する。


さて舞台は今述べたようにこの世のゴミの掃き溜めのような、現在で言えば独裁者ロバート・ムガベに
支配されたジンバブエのようなアフリカの架空の国で、ある企業主が私欲のためクーデターを画策する。
そこで傭兵として白羽の矢を立てられるのが、コンゴ動乱で名を馳せた主人公シャノンである。

ところがこの男、腕が立つだけでなく大変知的でもあり、フォーサイス同様世界の裏側を
さんざん見てきたために、簡単に雇い主の真の意図を見抜いてしまう。
シャノンは作戦を成功させるが、それは雇い主の意図とは異なり、善なる改革であった。

物語はだいたいこのようなものである。
映画も同時期に作られた映画なので、舞台観は殆ど一緒。
いかに当時本書が世間の関心の的となったかが覗える。


映画で一番受けたのはクリストファー・ウォーケン扮するシャノンがザンガロの入国審査に差し掛かった時。
彼は入国係官に別室に連れて行かれ、そこで「エアポート・タックス」として酒・煙草類、ペントハウス(エロ本)を
取り上げられ、さらにそれらの「インポーテーション・タックス」として現金まで巻き上げられるのだが、
ザンガロの係官は現金を制服の胸ポケットにしまいこむ。私は皮肉者ゆえ、このくだりが見ていて面白かった。

私もバンコクで荷物に課金された覚えがある。その係官は私から徴収した500THBを
自分の胸ポケットにしまっていた。つまり、横領したのである。


フォーサイスは本書の刊行後と、あとは「イコン」の刊行後にも絶筆宣言をしているが、
その度にほとぼりが冷めた頃にまた執筆を再開している。
そのうち取り上げてみたいと思うが、最近の作品では「神の拳」につながる作品として「アフガンの男」が面白い。
これは最新刊なのでまだまだ何処でも売っている。私は書店の回し者ではないが、
軍事スリラーがお好みの方は手に取ってみていただいて損はない。

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