■2012年5月18日:ナヴァロンの嵐
「ナヴァロンの要塞」で大活躍したマロリー、アンドレア、ミラーの3人が再び奮闘する。
実際には前作から10年以上後の刊行になるが、物語は前作のエピローグから始まる。
そのため、映画での要素も加わっているが非常に自然な書き出しで、
どちらかを読んだか見たかした後に本書を読んだのであれば、全くの続編に感じられるだろう。
部隊はチトー率いるパルチザンがドイツ軍への抵抗を続けるユーゴスラヴィア。
マロリー達3人はナヴァロンでの作戦の終了後、帰還するため乗り込んでいた駆逐艦から降りて、
イギリスには戻らずにユーゴスラヴィアに向い、
この地でドイツ軍に包囲されているパルチザンの将兵を救うため、ダムの爆破を試みる。
マクリーンという作家は元々スパイものが得意であり、前年である67年に著した「荒鷲の要塞」で
披露したスパイ小説家としての腕を惜しみなく披露する。
兵士というものはそんなに皆スパイじみているものかと疑いたくなるほどだ。
作中ではアクションよりも謀略が前面に出ている。そして、アンドレアの無敵ぶりは前作をも上回る。
手に汗握るスパイ・テクニックの駆け引きと、先が気になるストーリーは読み応え十分である。
情景は前作の方が上だが、ストーリーはこちらの方が面白いのではないだろうか。
映画の方はキャストが一新され、イマイチだった。ハリソン・フォードなど、全く味のない俳優である。
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