■2012年7月14日:ボーン・レガシー
「ジェイスン・ボーン」シリーズを巨匠亡き後、続編をリリースしている作家がいる。
エリック・ヴァン・ラストベーダーである。
この後の作品でボーンの妻のマリーが病死するなど映画と設定を
合わせて来ているあたり、映画化を狙っている節もあり、
内容的には色々と新展開があり賛否両論分かれるところもあるだろうが、
ボーンの人格や人となり、行動などについては概ね本家に倣っており、
まずまずの好感が持てる仕上がりになっている。
シリーズは三部作でそれぞれ
ボーン・レガシー
ボーン・サンクション
ボーン・ビトレイヤル
以上があり、さしずめ今回紹介するはベトナムで戦争の中亡くした(原作)、
と思われていたボーンの息子カンが殺し屋として登場するくだりは、
登場人物紹介に既にそのように書かれてしまっているので驚きでも何でもないのだが、
息子は”捨てられた”と考えているあたりさもありなんな舞台設定で、
この二人の諍いの部分はなかなか感慨深いものがある。
その中でもカンがジェイソンに尋ねる場面に名台詞がある。
曰く、ボーンの妻は最初がタイ人で後妻のマリーはアメリカ人?だかカナダ人であったから、
「マリーはタイ人じゃないよな?」
「恋に落ちる相手は選ぶものではないだろう、カン」
そうなのである。日本人だろうとタイ人であろうと、恋に落ちるときは落ちるのだ。
落ちた人でないと分からないと思うが・・・
さてストーリーの解説を少ししておこう。
物語はボーンが先に紹介した殺し屋である息子のカンから命を狙われるところから始まる。
当然ボーンは相手が息子だなどとは知らないので、正体不明の殺し屋に訝りつつも
その雇い主の事を探るうち、国際的なテロ事件の陰謀を突き止め、
一杯食わされていると知りつつプロを自覚し無関心を装っていたカンも、
ボーンに諭されテロを阻止すべく共闘する。
またボーン抹殺を命じられたCIA副長官のマーティン・リンドロスも、
CIA長官の過ちに気が付きボーンに協力する。彼は後にボーンの親友となる。
なお本書の続編として他に先に記載したサンクションとビトレイヤルの2作があるが、
本書は原作に直通している部分がある故に、
他の2作よりも一番面白かったことを付け加えておく。
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