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■2013年1月25日:SAS戦闘員

クリックして拡大  原題:IMMEDIATE ACTION (1995年イギリス)
 著者:アンディ・マクナブ
     Andy McNab/1959- イギリス生
 文庫初版:2000年7月15日 ハヤカワ文庫
 初版時価格: 上下とも700円
 巻数:上下巻
 品番:NV 239,240
 管理人読了日:2000年9月13日
 映画化:未
 映画題名:未
 映画主演俳優・女優:ー
 日本語DVD化:ー

アンディ・マクナブが小説のリリースを始める前に著したのがこの一冊。
内容はSASの実態を述べたドキュメンタリーだが、小説調に仕上がっており、大変読みやすい。
また同じく著者のイラクからの脱出行を記した「ブラヴォー・ツーゼロ」も評判が高い。

今さらここで繰り返す必要はないが、SAS (Special Air Service)とは英国屈指の陸軍特殊部隊であり、
その名が示す通り空挺作戦を得意とし(英国にはSBS(Special Boat Service)、特殊舟艇部隊もある)、
世界的にも最高水準にある精強な集団である。

SASは同盟国の特殊部隊員を技術交流の一環で招待することはあるが、
そういった例外を除いて、外部から兵士を徴用しない。基本的には英軍の兵士を試験で選抜して採用する。


本書は上巻が筆者の生い立ちとSAS加入への道のりと、最初の任地である北アイルランドでの出来事、
下巻はオマーン派兵から対テロ要員としての訓練、再びアイルランドに赴任、そしてイラク派兵へと続く。
イラク派兵が決まったところで、本書は幕を下ろす。
以降は「ブラヴォー・ツーゼロ」を参照せよ、ということだ。

本書は一兵士である筆者の視点から、SASという部隊の全容を述べている。
時には客観的に、また時には実務的に書かれており、その技術的な詳細は
元兵士が自らの任務を振り返ったものであるから、当然軍事マニアも納得する出来栄えであり、
尚且つ一個人として、生活の大部分を占める兵士としての仕事に関する心の葛藤がにじみ出ており、
この辺のところをバランス良く織り交ぜた本書には、小説家としてのマクナブの力量の一辺が垣間見えている。

彼はまた”英国紳士”とは程遠いプレイ・ボーイでもあったようだ。
全編を通して、女性関係、妻や恋人のことを考慮しつつ、任務にも就かなければならない
軍人の苦難が鮮やかに描かれている。
本書から、軍人とは如何に世帯を持つのが困難かが分かるであろう。
そしてそういった人々と人生を共にする妻たちの献身は讃えられてしかりだ。


簡単に、銃を背負うかポケットに入れるかして、何処でも使えるわけではない。
そんなのは命を顧みないテロリストだけか、あとは映画やTVゲームの中だけの世界である。
実際に作戦に赴く兵士たちは、気が遠くなるような準備を行い、手間暇を掛けて計画を練った末に、
武力の行使へと及ぶのである。
まず、彼らは一般に考えられている印象とは裏腹に、熱心に勉強する。
軍事だけでなく政治や社会の事柄までその範囲は多岐に渡っている。
単なる”荒っぽい男達”とはわけが違う、知的な男でもあるのだ。
そんなわけだから、女性にもモテるのだろう。


「SAS」戦闘員は全体の構成はノン・フィクションであり、世にミリタリー小説は数多に流通するが、
怪しげな小説の眉唾もののアクションより、元兵士が綴る本書は迫真に満ちていると言える。
読み物としても、ドキュメンタリーとしても秀逸な作品だ。

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関連記事:

アンディ・マクナブは元英陸軍特殊部隊SAS (Special Air Service)所属の兵士であり、退役後に戦闘記録である「ブラヴォー・ツー・ゼロ」、「SAS戦闘員」等を執筆後、著した小説の日本語訳されたものの内、最新刊に当たるのが本書だ。■2012年3月12日:解放の日



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