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■2014年5月22日:パーフェクト・ハンター

クリックして拡大  原題:THE HUNTER (2010年イギリス)
 著者:トム・ウッド
     Tom Wood/- イギリス生
 文庫初版:2012年1月25日 ハヤカワ文庫
 価格: 上 2012年8月25日(第2刷) 840円
      下 2013年6月15日(第3刷) 840円
 巻数:上下巻
 品番:NVウ20-1,2
 管理人読了日:2013年12月31日
 映画化:未
 映画題名:−
 映画主演俳優・女優:
 日本語DVD化:

新進気鋭作家の紹介第2作目(1作目はこちら)。
最初の内、殺し屋の殺しの手法など稚拙な書き出しとなっており、
私の頭の中での分類は”つまらない”のインデックスであり、
たまには読んでも面白くないものの紹介、という趣向も良いのではないかと考えていたのだが、
上巻も半ばまで進む頃には、そのアイディアは捨てざるを得ないと思い始めていた。

「パーフェクト・ハンター」という安直なネーミングも、実を言うと購買意欲をそそらなかった。
トム・ウッドの作品は本書も含めて既に2作が日本でも出版されているが、
2作目もタイトルは「ファイナル・ターゲット」であり、見るからに面白くなさそうだ。

しかしながら、そもそも、ハヤカワ文庫NVには楽しめない小説を探す方が困難だ。
つまらない試みを抱いたことを失礼と恥じた。


プロットは前回紹介した「暗殺者グレイマン」と同じ”殺し屋”。
キーアイテムも”フラッシュ・メモリー”であり、面倒臭えな、という感触を抱きつつ読み進めると、
渦中の対象は”ロシアの対艦ミサイル”とのこと。
ふむふむ。

少々武器等に関する解説が鬱陶しい。そんなものは物語の進行には関係ない。
しかし我慢して読んでいくと、だんだん主人公と一緒に大国を取り巻く謀略の渦に読者も巻き込まれていく。

殺し屋ヴィクターを罠に嵌めようとする殺し屋リードと、さらに元々のミサイルの持ち主ロシアの特殊部隊も絡んできて、
最終局面では三つ巴の修羅場と化す。それだけに留まらずCIA局員の介入にも及ぶから、
注意して読んでいないと、読み手も混乱するほどだ。


思うに、中盤ヴィクターに関係するCIA職員の女性が殺されなければ、本書はより面白いものとなっただろう。
しかし、自作を手に取る気にもならなかっただろう。そういう隅におけない筆力が、トム・ウッドにはある。
私にもその程度の眼力あるつもりだ。

これからマーク・グリーニーの第2作目を手に取るべきか、本書の続きを読むべきか、迷っている。
ハヤカワ書房には今後も傑作の開拓を続けてもらいたいものだ。

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