■2019年1月18日:死線のサハラ
原題:HOUSE OF SPIES (2017年アメリカ) | |
著者:ダニエル・シルヴァ Daniel Silva /1960- アメリカ生 |
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文庫初版:2018年7月20日 ハーパーBOOKS | |
第2刷時価格: 上下巻とも889円 | |
巻数:上下巻 | |
品番:M・シ/1・5 - 6 | |
管理人読了日:2018年12月31日 | |
映画化:未 | |
映画題名:未 | |
映画主演俳優・女優:ー | |
日本語DVD化:ー |
ダニエル・シルヴァ、前作ブラック・ウィドウの続編である。
主人公はガブリエル・アロン。
前作にて登場のその他メンバーも総出演で、謎の黒幕サラディンを追う。
このサラディンが束ねるテロ組織のISISだが、
歴史上の人物、サラディンの名をパクることもさながら、
実在の組織の方も、偶像崇拝を禁ずる一神教を標榜していながら、
古代エジプトの神の名とゴロを合わせたわりに、
パルミラの神殿を破壊したりと、筋の通らないことをしている連中だ。
要するに、古代ローマの警士が持つファッシから取って
ファシズムと名付けたムッソリーニが、
内実はローマ帝国の威光を汚すようなことをしていたのと同レベルだ。
本題だが前回逃したサラディンを見つけて息の根を止めるのが、
今回ガブリエルが自らに課した使命。
この人物、見た目によらず自分に甘く、人には厳しいようで、
結構他人には手段を選ばず指令している。
相応しい人物のリクルートから初めて、
サラディンをおびき出し、サラディンもバカではないから罠を張るのだが、
罠と知りつつ飛び込んでいく。
もちろん勝算があってのことだが、ガブリエルは諜報機関の長官とはいいつつ、
全て自分の目で見て自分の手で処理しないと気が済まない人物のようだ。
とはいえ司令官がもし有能なら、部下はついてきやすいのも事実。
万全の信頼を得られるからだ。
最終作戦ではまだページが半数以上残っているので、
それで終わらないのは明白なのだが、そのあとどうなるのか気になって読む手が止まらない。
シルヴァのこのプロットの巧みさはさすがだ。
最後は、チェルノブイリ野郎を始末して大団円となる。
今作は前作以上にのめり込んだ。
読み始めて最初の100ページにも満たないうちに、もう引き込まれてしまった。
妻の実家に帰省中に上下巻をそれぞれ1日で読んでしまった。
文字通り最大の敵を倒してもまだ世界は不安定とはいえ、
この先ガブリエルに太刀打ちできる敵はいるのかと、かえって不安になってしまった。
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