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■2022年4月17日:エンド・オブ・オクトーバー

クリックして拡大  原題:END OF OCTOBER (2020年アメリカ)
 著者:ロレンス・ライト
     Lawrence Wright/ アメリカ生
 文庫初版:2021年5月25日 ハヤカワ文庫
 初版時価格: 上下とも1,000円
 巻数:上下巻
 品番:NVラ14-1,2
 管理人読了日:2021年1月2日
 映画化:未
 映画題名:−
 映画主演俳優・女優:−
 
 日本語DVD化:−

本書はコロナ・ウィルスによる災禍を見越して書かれた
(刊行は発生後)ということで話題になった。

但し、単なるパンデミック・スリラーの域にとどまらず、
政・軍事に及ぶいわゆる冒険小説の傑作である。

最初、ウィルスの蔓延に立ち向かう医療関係者の物語と考え読み始めたところ、
いい意味で期待を完全に裏切られ、それどころかとてつもない面白さを秘めているので、
なんだ、この作品は、と思わずうなってしまった。


まずもってエピデミックが発生したときに世界が示すであろう反応。
コロナ・ウィルスの恐怖に見舞われたとき、現実社会は本書に描かれているのと
まったく同じような経緯をたどった。

さらに本書に登場するウィルスは、COVID-19よりもはるかに強い毒性を持つことから、
世界は戦争状態となる。

そして注目されるのがウィルスが人為的なものであったのかどうか、
という議論で、このウィルスはどうやらそうではなさそうなのだが、
西欧の自由主義社会の苦境につけ込む、言わずと知れたならず者国家の存在。


脱線するが中国の台湾侵攻は時間の問題だろう・・・
クウェートに侵攻したイラクと同じで、
昨今増加している、主に空軍力を主体とした中国軍の”演習”はいわば攪乱作戦で、
今にいつもの嫌がらせのはずが、実弾が使われた・・・
というニュースが飛び込んでくるに違いない。

歴史上に出現した悪人には、共通点がある。
彼らには、国際社会の反応など関心がないのだ。
ナポレオン、ヒトラー、スターリン、サダム・フセインなど、みな同類である。
最近だとプーチンがそうだが、やつの頭にはこれらの
悪党が偉人としてインプットされているのだろう。


話を作品の方に戻すと、
過去地球上に発生した疫病の歴史や、
主人公ヘンリーの驚くべき出自が明らかにされるタイミングなど、
本書はニクイばかりの演出の連続で、のめり込めること間違いなしだ。
主人公の家族を襲う悲劇は、読んでいる者の胸を熱くする。

私はナコン・サワン滞在中に読んでしまった。

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