■2012年3月28日:レッドライト・ランナー抹殺任務
原題:WHO DARES WINS (2009年イギリス) | |
著者:クリス・ライアン Chris Ryan/1961- イギリス生 |
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文庫初版:2010年9月25日 ハヤカワ文庫 | |
初版時価格: 980円 | |
巻数:単巻 | |
品番:NVラ7-14 | |
管理人読了日:2011年5月1日 | |
映画化:未 | |
映画題名: | |
映画主演俳優・女優: |
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日本語DVD化: |
アンディ・マクナブが「ブラボー・ツー・ゼロ」の題材となった時点のマクナブの隊員の内の一人であり、
ただ一人捕虜とならず逃れることに成功したクリス・ライアン。
その彼も後に小説家となり、邦訳済みの最新作となるのが本作だ。
クリス・ライアンもまた「ブラボー・ツー・ゼロ」にまつわる戦闘記録を出版しているが、
こちらは色々な評価があるようだ。
かっての自らのコール・サインを取った主人公、ジョーディ・シャープを題材にした襲撃待機から始まる
4部作(「襲撃待機」、「弾道衝撃」、「偽装殲滅」、「孤立突破」の4作)はなかなか面白かったが、
その後のシリーズはちょっと面白いものもあれば、あまりパッとしないものもあり、というのが正直な感想だった。
何しろ、クリス・ライアンは執筆のスピードがすごい。次から次へと新作を発表している。
ハヤカワ文庫だけでも年に1作のペースで翻訳されているので、毎年楽しみだ。
その中でも本作は(彼の作品の中では)久しぶりにのめり込める作品だった。
アンディ・マクナブと同じく元兵士というだけでなく、同じ部隊の出身でもある、クリス・ライアン。
その作品の主人公達もまたマクナブの描く主人公と同様、生身の人間。
血と汗と涙で危機を乗り越える、現実に近い地味ぃーなヒーローだ。
ちょっと誤解を招くかもしれないので断っておくと、もちろんロボットと比較しているわけではなく、
そんなに強くないね、って感じ?(笑
本書の主人公サム・レッドマンは英陸軍特殊部隊SASの隊員であり、
彼の兄ジェイコブも同隊の隊員だったのだが、ある事件がきっかけで姿を消してしまった。
そんな事件の後6年が経ったころ、サムが与えられた任務は、至極簡単。
「写真の人物を抹殺せよ」
それは、失踪した兄の写真だったのだ。
半信半疑のまま兄を追ってサムはアフガニスタンにチームとともに潜入する。
そこで見たものは・・・
兄と隊のどちらを信じれば良いのか?
迷う主人公の心情をよそに、裏切ったのは案外想定して然るべき方だった。
まあ裏切ったと言っても、気持ちは分からないでもないのだが。
そして、その裏にいるのはは西側に牙をむくアフガンのテロリスト達だけではなかった。
親友を殺され、遂に堪忍袋の緒を切る主人公。
クライマックスはここまで同作品を読んだ者なら分かる、悲哀に満ちている。
殆ど最後まで時間を忘れて読み耽ってしまった。
まるで映画のようなノン・ストップ・アクションである。
冒頭で述べたように、著者は作品数が多く、未だ未だ邦訳されていないものは多い。
将来のある作家であり、今後が期待できる。