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■2012年7月5日:蘇るスナイパー

クリックして拡大  原題:I,SNIPER (2009年アメリカ)
 著者:スティーヴン・ハンター
     Stephen Hunter/1946- アメリカ生
 文庫初版:2010年12月10日 扶桑社ミステリー
 初版時価格:上・下とも848円
 巻数:上下巻
 品番:ハ19-18,19
 管理人読了日:2011年3月26日
 映画化:未
 映画題名:未
 映画主演俳優・女優:ー
 日本語DVD化:ー

・米国で著名人が狙撃・射殺される事件が3件相次ぐ
・上記の一連の事件はベトナム戦争時の海兵隊トップ・スナイパー、カール・ヒッチコック
 (実在の狙撃手、カルロス・ハスコックがモデルで、ボブのモデルともなった)の犯行と目される
・カール・ヒッチコックが自宅で自殺と推定される状況で発見される

以上の状況により、FBI特捜班主任ニック・メンフィスは「極大射程」で親友となった、
海兵隊元スナイパー、ボブ・リー・スワガーに協力を求める。

友であったわけではないが、戦友として、同じ元スナイパーとして汚名を着せられ殺された
カール・ヒッチコックに対し、黒幕を許せないボブはカールの汚名を晴らすべく立ち上がるのだった。

・・・と、こんなあらすじだが、ハンターの最近出版された作品の中では私が最も面白いと思った一作。


そして、黒幕はまあ、ありがちな富豪の仕業だったのだが、その実行部隊は別で、
こちらもまあ、ありきたりなごろつきの集団だった。
そう、テヘラン・マッドヘンズみたいな。

途中で、ある新聞記者がニックを陥れようとして汚職記事を書き、
実はそこでライフルの機種を間違えて自らが墓穴を掘るというくだりも面白いが、

とにかく本書の醍醐味は何と言ってもクライマックでのボブの活躍である。
海兵隊のナム戦第3位(物語の中でボブは第2位)のスナイパーまで登場し、
その敵傭兵団を倒す際のボブの手並みと言ったら、
ハンター以外の作家には到底考え付かないような常軌の逸しようである。

何しろ、ボブはライフルだけでなく、本書のラストでもそうだが、
黄昏の狙撃手」でも、拳銃を扱わせても”最強”なのだ。


何だか何処かのIT企業の製品名みたいで
「iSniper」なる射撃コンピューターという突拍子もない技巧が少々興醒めだが、
暗視装置に代表される”新しいもの好き”なハンターの趣味が本作品にも表れている。

お馴染みのテンポの良いストーリーが大変読みやすい快作である。

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関連記事:

スティーブン・ハンターはその著作が全て時系列的に繋がっているということで名を馳せている作家だ。しかも凄いところは、順番に発行されているわけではないところである。私も初めて読んだのは「狩りのとき」で、最初何だか良く分からなかったのだが、アール・リー・スワガー・シリーズや「ブラック・ライト」、そして本書を読むにつれて、次第に内容が分かってきた。「ダーティホワイトボーイズ」や「クルドの暗殺者」までストーリーが繋がっているのには驚かされる。だが最も秀逸なのは本書である。■2012年2月2日:極大射程



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