■2013年2月20日:雨の掟
原題:KILLING RAIN (2005年アメリカ) | |
著者:バリー・アイスラー Barry Eisler/1964- アメリカ生 |
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文庫初版:2007年9月20日 ヴィレッジ・ブックス | |
初版時価格: 960円 | |
巻数:単巻 | |
品番:F-ア1-4 | |
管理人読了日:2008年2月25日 | |
映画化:未 | |
映画題名: | |
映画主演俳優・女優: | |
日本語DVD化:未 |
バリー・アイスラーの第4作目、日本では最新作。
私はタイの紀伊國屋で420THBで購入した覚えがある(値札が付いている)。
雨の牙の続編で、今回は私の住むバンコクを舞台にストーリーが展開する。
主人公のレインは前作「雨の罠」で日本を離れブラジルに住居を移した後、
香港でイスラエルのエージェントである絶世の美貌の持ち主、デリラと出会い、
本作では彼女の紹介で仕事 −殺し−を引き受ける。
標的は、爆弾製造魔で各地のテロに関与しており、世界的な裏のネットワークで爆弾の流通に
多大な貢献をしているという人物。それにはCIA等も絡んでおり、物語は複雑な展開を見せる・・・
このデリラという人物、一般に想像される女スパイそのものなのだが、
男に関しては一家言を持っている。以下はその引用である。
”彼らの問題は、男性固有の経験という限界から足を踏み出せないことにある。
男は単純な生き物だ。彼らはひたすら情欲によって動く。そして、女も同じだと決めつける。
だから、女はもっと理性的な動機から −たとえば国家の安全という不釣り合いな理由から−
男と寝る場合もあると知ったとたんに色を失う。”
お心当たりのある方は、ご注意を(笑
筆者はテーメー・カフェ(THERMAE cafe)の語源が白蟻を意味する英語である”termite”だと
見抜いているし、OPEN間もないDOMEにも早速足を運んでいる。
バンコク以外の地域でも著者のタイに関する知識・取材力は言うことない。
また本作では壮大な知能戦が盛り込まれており、
例えば、「逃がした」と言うより、「もう一歩で捕まえられるところだった」と言った方が、
結果的には逃げられたことに変わりなくとも、まるで相手に与える印象が異なる。
もっとも、それを指摘されれば元も子もないが。
他にも、相手をおだてて油断させ、情報を引き出す方法など、
現在社会を生きる我々にも大変参考になるところが多い。
それだけでなく本作でレインは血も涙もない殺し屋ではなく、
人間としての葛藤に苦しむ姿も書かれている。
「雨の罠」はそれだけ読んでもバリー・アイスラーの世界が良くわからないことが多かったが、
本書では改善されており、本作だけ読んでも作品の世界にのめり込めること請け合いだ。
本格的な諜報小説を読んでみたいけれども、あまり堅苦しいのはちょっと・・・
という向きにはお勧めの、楽しめる仕上がりになっている。
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