■2013年5月6日:ダーティホワイトボーイズ
原題:Dirty White Boys (1994年アメリカ) | |
著者:スティーヴン・ハンター Stephen Hunter/1946- アメリカ生 |
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文庫初版:1997年2月28日 扶桑社ミステリー | |
第13刷時価格:2000年3月20日 874円 | |
巻数:単巻 | |
品番:ハ19-1 | |
管理人読了日:2003年1月25日 | |
映画化:未 | |
映画題名:未 | |
映画主演俳優・女優:ー | |
日本語DVD化:ー |
本書はアメリカの”ワル”共を描いた作品だ。
だが本作品に登場する”ワル”共は空豆タローのような”ワル”とは訳が違う。
文字通り現代アメリカで問題になっている集団射殺事件の犯人のような連中が、我が物顔で街を闊歩する。
何しろバキュンバキュンバキュンバキュンバキュン・・・ときたもんだ。
不謹慎かもしれないが、これは面白い。
ボリュームもまたしかり。なんと総ページ数737ページもあるのだ。
終身囚ラマー・パイはひょんなことから脱獄し、ダウン症?気味の弟オーデルその他とともに、
ストリート・ギャングとして考えられる悪事の限りを尽くす。
まず手始めに警官を2名射殺する・・・とラマー本人は考えていたのだが、
実はその内の一人バド・ピューティは生きており、最終的にラマーを追跡し、対決して彼を倒す。
ところで、この”善玉”であるはずの警官、バドも若い女性と不倫中。
それだけでも、結構な”ワル”だ。
こういうところに人間性を取り入れ、登場人物達も普通の人間だと感じさせるあたりは、
ハンターの小説家としての手法のうまさの表れだろう。
前にも書いたがハンターの作品は作品毎に連携しており、本書の場合は「ブラック・ライト」がそれに当たる。
この作品では本書の前後のストーリーが交互に展開し、読者は既視感に近いものを味わえるだろう。
本書の悪役「ラマー・パイ」の父は「ジミー・パイ」といって、ラマー同様ワルだった。
そして、本書の主人公の息子、「ラス」はハンターの小説体系の中心的存在である、
ボブ・リー・スワガーの元を訪ねる。何故なら、彼の父アール・リー・スワガーはジミー・パイと関係があったから。
ハンターの読者ならあっと驚く事実が判明する。
こうして振り返ってみると、ハンターの作品も結構大どんでん返しの趣向が多い。
同時に、最新作まで含めて考えると、ちょっと・・・マンネリかな。(笑
ハンターの小説はどちらかというと、初期のものを除いて、アール・スワガー・シリーズか
ボブ・リー・シリーズに分類される。その初期のものでも、後年の登場人物が現われたりするくらいなのだが、
本書は、これだけ読むと、一見して他との関連性が無く、独立した作品に見える。
またそのコンセプトとしても、連続でボブ・リー・シリーズを読んでいると、ともすれば冗長性を覚えるが、
本書は(本作が登場した時点では)従来のハンター作品とは異なる作品として、異彩を放っている。
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