■2014年11月18日:暗殺者の正義
原題:ON TARGET (2010年アメリカ) | |
著者:マーク・グリーニー Mark Greaney/- アメリカ生 |
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文庫初版:2013年8月15日 ハヤカワ文庫 | |
初版時価格:1040円 | |
巻数:単巻 | |
品番:NVク21-2 | |
管理人読了日:2014年6月5日 | |
映画化:未 | |
映画題名:− | |
映画主演俳優・女優: | |
日本語DVD化: |
マーク・グリーニーの第2作。
前回「暗殺者グレイマン」で負傷したグレイマンことコート・ジェントリーは、
負傷を癒しつつ、元の雇い主と袂を分かち、新たにロシアのギャングから仕事を請け負う。
彼は今回、雇い主から石油の権益をめぐって確執のあった、
スーダンの大統領を暗殺するよう依頼される。
前作で孤独な暗殺者ぶりを通していたジェントリーだったが、
今回は古巣のCIA特殊作戦グループの仲間とチームを組むことになり、かなり人間らしさを取り戻す。
そこからは、だいたいクリス・ライアンの小説と同じような作風だ。
アメリカ人の人数が揃えばジョークもきつくなり、
「くそ、それをやりながら<マック>でハッピーセットも買ってこいっていうんじゃないだろうな?」
の一言には思わず爆笑してしまった。
さらに治療用のモルヒネでラリってしまう始末。
巻末の解説にもあるように、本書はものすごく面白い。
私もこれだけ面白い小説は久しぶりだった。
(解説者はトム・クランシーをかなりこき下ろしていたが、それについては私とは意見が異なる)
何が面白いのかというと、だらける部分がないのである。
おとなしめの語り口なのは、せいぜい最初の20〜30ページだろう。
そのあと、主人公がアフリカに飛んでからは、アクションの連続で、文字通り息をつく暇もない。
ずっと最後まで読み進んでしまう。
564ページもあるのに、めずらしく3日間位で読んでしまった。
この中毒性の秘密は、何もアクションだけではない。
綿密に計算されたストーリー性があってこそのことだ。
ジェントリーは本書の中盤、アフリカで国際刑事裁判所(ICC)所属のカナダ人の女性の命を助けるが、
これが法の執行者たる女性であり、煮ても焼いても食えないバカ女なのだが、
彼は「おれのせいだ」とかなんとか屁理屈を見つけて命を掛けて救い出す。
読者はなぜそこまでして・・・と思うだろうが、簡単な話。
彼は恋をしたのだ。
彼はまた終盤では自らの意思で正しいと考えられる道を取り、
再びCIAに命を狙われることになる。
第3作「暗殺者の鎮魂」ではどんなストーリー展開になるのか、楽しみである。
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