■2017年11月19日:ターゲット・アメリカ
スコットマキューエン&トマス・コールネーのシリーズ第2弾。
主人公はもちろん、前作にも登場したDEVGRU(デブグル、
対テロ戦が専門のSEAL チーム6が改称した組織)出身の
スナイパー、ギル・シャノンだ。
彼は前作でDEVGRUを除隊し、CIAのSAD(特殊活動部)に移籍している。
SADというのは「暗殺者の反撃」のコート・ジェントリーの出身組織だから、
そちらを読んでいれば分かりやすいだろう。
さて、本作でギルはスーツケース型核爆弾を追うことになるが、
前作で空軍女性兵士の暴行、というショッキングな事柄を扱った著者のこと、
今回も主人公の家族がテロリストに襲われる、という他にも
高官が敵のスパイであることを疑われている、などというとんでもも用意されており、
中盤ではギルの自宅を巡る攻防に読者は釘付けになるだろう。
そして大統領補佐官というおべっか使いの制服組は、
その放言を問われ大統領によって解任され、物語は驚くべき結末を迎える。
そう、今世界に台頭してきた勢力は中国であって、
アメリカは間違いなく既に下り坂に入っているのだ。
残念だが国家には必ず勃興と滅亡がある。
兵士出身の著者の作品であるから、全体として特殊部隊員礼賛に仕上がっている。
従ってその手の軍事小説が嫌いな向きには全く面白くないだろう。
反対に、私のような謀略好きの人間には、ギルは子供がいなく動物を愛するという、
似たような境遇の人間に覚える親近感もあって、たまらない一作になっている。
私は前作が非常に面白かったので何も考えずに本作も手に取ったが、
期待に背かぬ出来になっている。
次回作が待ち遠しい。
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