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■2016年10月17日:スナイパー・エリート

クリックして拡大  原題:SNIPER ELITE (2013年アメリカ)
 著者:スコット・マキューエン
     Scott McEwen/1961- アメリカ生
    :トマス・コールネー
     Thomas Koloniar
 文庫初版:2015年5月25日 ハヤカワ文庫
 初版時価格: 1100円
 巻数:単巻
 品番:マ24-1
 管理人読了日:2016年4月15日
 映画化:未
 映画題名:−
 映画主演俳優・女優:−
 
 日本語DVD化:−

サムイ滞在中に読書。

米軍が女性兵士を戦場に投入するようになって、
敵勢力の捕虜になり暴行を受けた、という話を聞くようになったが、
本書はそんな事件に材を採った作品。

舞台は最近のミステリ小説の潮流に違わず、アフガニスタン。
但し、コマッタちゃん役はおなじみのタリバンではなく、
HIKだのHIGといった組織が出てくる。

これらの組織については物語の冒頭で解説されているが、
私は良く分からなかったので、読まれる方はご自分で確認してほしい。
米軍の介入に全責任があるとは考えないが、
戦争の悪化・拘泥化に従ってアフガニスタンの情勢は
みるみるぐちゃぐちゃになり、戦乱が新たな過激派組織の台頭を生んでいるらしい。

本書はアメリカン・スナイパーの共著者の作品であり、私はアメリカン・スナイパーは読んでいないが
余談だがアメリカン・スナイパーの著者クリス・カイルは殺害されている)、
本書はスティーブン・ハンター作品の翻訳者が手掛けていることもあり、
作品のリアリティは折り紙付きで、中途半端な軍事スリラーと異なり、
その描写に不正確なところはない。

主人公である特殊部隊員のギルが愛用するのはMSR(モジュラー・スナイパー・ライフル)という狙撃銃。
ボルト・アクション式の、射程の長い最新兵器だ。
M24の後継のSR-25M110の有効射程を超えるような場合に使用されるらしい。

本書では、スナイパーとは絵物語ではなく、現実に世界中どこの軍隊・勢力にも存在し、
戦場においてはより実際的な脅威として描かれている。
また特殊部隊員にとって”狙撃”は専門職ではなく、
得手・不得手はあるにしろ、単なる科目のひとつでしかないのが分かるだろう。

ギルは本書でボブ・リー・スワガーばりの活躍をするが、
それはボブほどの行き過ぎた超人ぶりではなく、あくまで現実の兵士の身体能力に基づいている。
最近のボブは老齢にも関わらず、本当に無茶な活躍の仕方をする)

装備の調達に関して裏から手を回したり、最後にギルに味方をするアフガニスタン人兵士の心情など、
ちょっと設定に無理があるのではないか、というきらいはあるが、
そこのところは我々は現地事情を知らないので分からない。
ともかく、読み物としては556ページの読み応えは十分だ。

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