■2013年6月22日:イコン
原題:ICON (1996年イギリス) | |
著者:フレデリック・フォーサイス Frederick Forsyth/1938- イギリス生 |
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文庫初版:1998年9月25日 角川文庫 | |
初版時価格: 上/下とも:760円 | |
巻数:上下巻 | |
品番:フ6-19,20 | |
管理人読了日:1999年5月27日 | |
映画化:未 | |
映画題名:未 | |
映画主演俳優・女優:ー | |
日本語DVD化:ー |
フォーサイスの小説は大きく2分される。
「ジャッカルの日」や、「オデッサ・ファイル」、「戦争の犬たち」等に代表されるアクションもの、
そしてそれらよりは諜報色の濃い「第四の核」、「ネゴシエイター」や本書のような謀略もの。
新しい部類の作品は時代のニーズかややアクションよりの傾向があるが、
”謀略もの”作品群はおとなし目と言えばその通りだ。
しかしながら巨匠フォーサイスのこと、その題材は新鮮であり読み応えたっぷりだ。
本作品は主人公である元CIA工作員ジェイスン・モンクを中心に、
舞台はモンクがCIAエージェントであったソビエト連邦時代から、
ソビエト崩壊後の不安定な新生ロシアが交互に入れ替わる形で描かれている。
エリツィン後の政治的に混乱したロシアで、頭のイカれた政治家がいた。
こんな時代だから、民衆の支持はあったが、何しろインタビューに来た西側の
ジャーナリストを気分を害されたというだけで射殺させるようなイカれぶりだ。
その男が世界征服紛いの陰謀を企てているという情報が西側に流れる。
時は遡ってジェイスン・モンクのCIA現役時代。
彼は語学に堪能で何度もソ連や共産圏に潜り込み、
複数のスパイを飼うなど優秀なエージェントだった。
ところが知っての通り蛇の道は蛇で、CIA上層部の2重スパイにより彼の資産は
根こそぎ摘発・処刑されてしまう。
モンクはそれを知ったとき、件のCIAの2重スパイ野郎をぶん殴って職を追われる。
そして時は過ぎカリブ海でチャーター・ボート業を営んでいる彼のもとに、
元SIS(英情報部、英国のCIAにあたる機関)長官が訪れる。
理由は、コマロフの陰謀を阻止するために、ロシアに再潜入してもらうべく
モンクに依頼に来たのだ。もちろん報酬は払うが半強制的に。
モンクは往年のスパイ技術を駆使し、ロシア正教の教主や、正義の志を持った警察部長、
チェチェン・マフィア等の力を借りて、ロシアの、コマロフの陰謀を打ち砕く。
現在では世界の不穏分子はロシアというより主として
(近隣で騒いでいるだけの北朝鮮は除いて考えると)
イスラム諸君にシフトしてきていることから、ちょっと考えにくいシナリオだが、
それでも創意に富んだプロットは十分楽しめる作りになっている。
旅行や休日のお供にぜひお薦めしたい。
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