■2019年3月17日:英国のスパイ
原題:THE ENGLISH SPY (2015年アメリカ) | |
著者:ダニエル・シルヴァ Daniel Silva /1960- アメリカ生 |
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文庫初版:2016年7月25日 ハーパーBOOKS | |
初版時価格: 1000円 | |
巻数:単巻 | |
品番:M・シ/1・2 | |
管理人読了日:2019年1月23日 | |
映画化:未 | |
映画題名:未 | |
映画主演俳優・女優:ー | |
日本語DVD化:ー |
本書のテーマはIRAのテロリストだ。
そして、暗に自分勝手な外交を進めるロシアに対する批判も含まれている。
冒頭、シルヴァ作品の定石でいつも通りショッキングな事件で始まる。
今回も主人公は同じ、ガブリエル・アロン。
但し、メインを張るのはこれまた定番メンバーである、
元SAS戦士でコルシカ島の殺し屋、クリストファー・ケラー。
そして悪役は、どこか憎めない、ニヒルなIRAのテロリスト、エイモン・クイン。
IRAのテロリストが本国での活動が下火になるにつれ、
北アフリカや中東諸国のコマッタちゃんに
持ち前の爆弾技術を売るのを本業に替えだしたのは事実だが、
シルヴァはこれを題材に取った。
IRAは、別にジャック・ヒギンズの十八番ではないわけだ。
加えて、ガブリエルの過去の作戦や事件を織り交ぜているのは、
前作や前々作を読んでいないと分からないが、
それでも本書が読める作品であるのは、シルヴァの腕が達者だからだ。
後半、だんだんストーリーが入り組んできて付いていけなくなりそうになるが、
そこはガブリエルとケラーの腕でかわして、
ともすればやや強引とも思えるゴールに持っていっているのだが、
前作「亡者のゲーム」と同じ後味の悪さを残すかと思いきや、
我らがケラーがきっちり落とし前を付けてくれた。
シルヴァの作品は今のところ最新作が一番面白かった。
脇役がしっかり活きているのが特徴だ。
まだまだ新作は登場するだろうから、引き続き邦訳されるのを願いたい。
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