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■2015年3月24日:暗殺者の鎮魂

クリックして拡大  原題:BALLISTIC (2011年アメリカ)
 著者:マーク・グリーニー
     Mark Greaney/- アメリカ生
 文庫初版:2013年10月25日 ハヤカワ文庫
 初版時価格:1100円
 巻数:単巻
 品番:NVク21-3
 管理人読了日:2014年6月29日
 映画化:未
 映画題名:−
 映画主演俳優・女優:
 日本語DVD化:

マーク・グリーニー3作目にしていよいよ成熟した感のある、
コート・ジェントリー・シリーズ。
ナコン・ナヨックで読み切ってしまった。


今作でジェントリーは前回の経緯により、ロシア・マフィアからもCIAからも
追われる身となってしまい、冒頭では隠遁先のブラジルまで追ってきた
刺客を始末するところから始まる。

今度のジェントリーの活躍の場はメキシコである。そして主な舞台はグアダラハラ。
グアダラハラには私も2年前に渡航したことがあり、
悪名高いメキシコでも比較的治安の良い町とされているが、
タイとどっこいどっこいの土地である。
タイと違って熱帯の粘りっこい不潔さはないものの、
ダウンタウンはそれなりに観光地しているが、一歩郊外に出ると殺伐とした独特の退廃感がある。

それこそ、ミリタリー・アクションゲームの舞台に相応しい土地で、
小説の雰囲気をつかむのに苦労しなかった。


さてここで主人公ジェントリーは昔の命の恩人である、メキシコ連邦警察の友人が
麻薬カルテルによって殺されたことを知り、葬儀に顔を出すと
運悪く(ジェントリーは人目を避けることを信条とするので)故人の妻と遭遇してしまい、
その家族らを守ったり救出したりしつつ、最終的には麻薬カルテルの気違い親分を倒すことに。

プロットとしてはフォーサイスの「コブラ」に似ているが、
一国の上層部をたぶらかしてその軍・情報部の力を利用する「コブラ」に対して、
こちらはあくまでジェントリーがワンマン・アーミーである、という違いがある。

あれ?、前作で知り合ったカナダ人女性は出てこないの?と思いきや、
今回また別の女性に思いを寄せたり、
いや、オレは女性と関係を持つことは許されない、などと子供っぽい意地を張ったりと、
相変わらず人間的には未成熟な面を見せる主人公。

我々だったら、普通そこで逃したらならん、しっかりつかまえとかにゃ、
となるところだろうが、そうはできないところが、潰しのきかない暗殺者という職業の悲しいところ。

前作に負けないスリルとスピーディさは維持しつつ、
プロットはやはり前作の方が上だったかな、というところが私の感想だ。
暗殺者の正義」は異様に面白かった。

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新進気鋭の作家。だがまだその素性の多くは明らかになっていない。HPもあるようなので、気なる方は一度見てみても良いだろう。■2014年5月3日:暗殺者グレイマン



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