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■2015年3月10日:コブラ

 原題:THE COBRA (2010年イギリス)
 著者:フレデリック・フォーサイス
     Frederick Forsyth/1938- イギリス生
 文庫初版:2014年4月25日 角川文庫
 初版時価格:上下巻とも560円
 巻数:上下巻
 品番:フ6-28,29
 管理人読了日:2014年7月24日
 映画化:未
 映画題名:未
 映画主演俳優・女優:ー
 日本語DVD化:ー

文庫版ではフォーサイス最新作。

「アヴェンジャー」に登場した暗殺者「アヴェンジャー」ことキャルヴィン・デクスターと、
同じく「アヴェンジャー」に登場した元CIA局員ポール・デヴローが再登場する。

アフガンの男」といい、ここのところフォーサイスもマンネリ路線かと思いきや、
戦争の犬たち」を彷彿とさせる物語構成で、読み応えのある作品となっている。


本書ではふとしたきっかけでアメリカ大統領からコロンビアの麻薬組織の壊滅を命じられ、
この二人が選ばれる。

日本では幸いなことにあまり馴染みがない”コカイン”も、
渦中の国ではその地域に根差した”産業”であり、撲滅は困難を極める。
その任務のため、コブラとアヴェンジャーは、壮大な絡め手を計画するのであった・・・

ところでフォーサイスはバッカニア(戦闘機、厳密には爆撃機)が好きである。
神の拳」でも登場した。しかも、サンダー・シティから持ってきたというから、さもありなんである。
確かに、あの飛行機は美しい。
まさしくイギリスの機体、という感じで、フォーサイスに相応しいオブジェクトだ。
実物を見たことがあるわけではないが、AIRFIXのプラモデル・キットを買ったことがある。
作らずにタイに来る前に売ってしまったが・・・

デクスターは、前作でのマッチョぶりから、一転して諜報員としての能力を発揮する。
前述したように、最近の著者の作風とは打って変わって、
「戦争の犬たち」を彷彿させる順序だったストーリーは、
フォーサイスならではの「空けてびっくり」も用意されており
(もっとも今作では予想不可能ではなかったが)、
これぞフォーサイスと思わせる興奮を秘めている。


多くを語る必要性を感じさせない、フォーサイスの代表作だ。
既に刊行されているハード・カバーの最新作の文庫化が楽しみだ。

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