■2009年11月21日:パンティップ・プラザ完全ガイド
本稿はそもそもPC Blogを書こうと思い立った時点から温めていて、
妻が外出して不在のタイミングを見計らって取材を敢行したものである。
他にもバンコクには有名な電脳街として、MRTA(地下鉄)Pra Rama 9駅の
IT MALLがあるが(そちらも機を見てレポートするつもりだ)、
あちらは携帯電話と海賊版ソフトが主体で、パーツ・ショップの観点から
パンティップ・プラザ(以後パンティップ)を選んだ。
バンコクにも小さな店は幾らでもあるのだが、品揃えの点でパンティップやIT MALLに
勝るところは他に無い。目指す品番の商品があるのなら話は変わってくるが、
ここに来ればとりあえずPCパーツはOSも含めて全て揃う。
携帯電話に限って言えばMBK(マーブンクロン)センターだ。
余談だが発音は「パンティップ」でも「パンティープ」でもどちらでも通じるのだが、
今回表札を確認したところ、「Pantip Plaza」とあったので、前者が正しいようだ。
タイのデジタル家電事情から先に簡単に述べておきたい。
一般に、東南アジアは日本より貧しい。それがどのくらい物価に反映されているかというと、
アンパン1個15円、ラーメン一杯70円である。もちろんそれだけでは食事にならないのだが、
そういうレベルであるから、デジタル家電などとてもではないが庶民には買えない。
国民のコンピューター、デジカメ等を所有する割合は、先進国と比較してはるかに低い。
車の購入などとんでもない。関税が200%掛かるので、100万円のカローラが300万円で売られている。
但し、携帯電話だけはどんなものであれ、何処に住む者であれ、持っている。
私の妻の実家の、家から舗装道路まで出るのに車で30分も掛かるようなところに
住んでいる人達ですら、皆持っている。この辺は、必要悪なのであろう、
昼飯を奢ってくれとせがむ者が電話だけは1,2万バーツもするものを持っていたりする。
また貧富の差であるが、管理人が住むスクンビット トンローというところあたりに
住むタイ人は、何故こんな若造がこんなに金を持っているのだろう、と不思議に思うくらい
スポーツカーを乗り回したり、どんな奴が貢いでいるんだ、と疑いたくなるような女が
妙なドレスを着て平日の晩からスターバックスで何時間もペチャクチャくっちゃべっている。
しかも、耳を澄ましていると、「あそこって、美味しくなくな〜い?」等と下品なタイ語だ。
どいつもこいつも大方、政治家のドラ息子や、にわか芸能人なのだろう。
一方で、パンティップのようなところは、遊び場であり、一大デートスポットでもあることから、
外国人等の客の他に一般タイ人も良く訪れる。
別にパソコンを買うわけではなくても、一通り各階をブラブラしたあと2、30THBの雑貨を買って帰る
ティーン・エイジャーの姿も見られる。或いは何も買わなくても休日を過ごしに
ブラブラしに来るだけの者もいるだろう。日本人も結構いる。
他に重要な客層として僧侶の存在がある。特に取材時は僧侶の姿がやたらと目に付いた。
ある日の特定の時間に、パンティップのビル内に居る僧侶の数の合計は10人を下らないのではないだろうか。
いや、ハッキリ言おう。私もそれほど頻繁に来るわけではないが、明らかに何度も見掛けた顔がいる。
妻と一緒に来たときに、彼女は僧侶を見てこんなところになんで僧侶がいてコンピューターを見ているのかと
驚いていたので、お前らが寄付した金で奴らは玩具を買ってるのよ、と教えてやったところ、泣きそうな顔をしていた。
可愛そうだがこれが現実だ。しかも普段は厳しい面構えの僧侶たちも、
ここに居る連中は何故か晴れやかな顔をしている。
パンティップの商品は、既製品については、もちろん富裕層向けだろう。
既に述べている通り、パソコンもデジカメもそこいらの女の子が買える値段ではない。
バンコクのタイ人の平均収入だが、労働者階級で勤め人の場合、工場労働者で10,000±5,000THB、
オフィス勤務者で15,000±5,000THBというところである。
もちろん、技術者や管理職であったりすればもっと多いが、だいたいこんなところである。
しかも、このうち残業代が20~60%を占める。
もっともこれは為替レートにより変動するので、日本人から見た価値は時期によって随分違う。
話が逸れるが、
管理人が初めてタイに出張した2003年12月は1万円両替すると3,500THBほどで、
日によって3,550THB位貰えると運が良いなどと同僚達と言い合っていた。
その後バーツは徐々に強くなり、2007年6月末には1万円で2,900THBを切った。
そこから緩やかに円安は回復し、2008年11月末の空港閉鎖騒動で一気にバーツは安くなり、
2009年2月初めのピーク時で1円=2.61THB(1万円で3,800THB以上)にまで下がった。
以後現在まで3円を超えることなく推移し、管理人が取材した11/15の時点で
2.70円(1万円で3,650THBぐらい)というところだ。つまり、10,000THB x 2.70JPY = 27,000円である。
この辺は現地で勤務する者の強みとして自負するのだが、
皆さんに知っておいて欲しいことがある。
日本で売られているパソコンやデジカメ、携帯電話の部品は、タイあたりでは
日給(時給ではない)300円にも満たないような女の子達が一生懸命作っているのである。
日本の新聞を読んでいて”職が無い”等という記事を読む度に呆れ果てているのだが、
我々日本人が中国・東南アジアあたりに出稼ぎする時代が既に到来しているのである。
パソコンの話の続き。バンコクでも現在の主流商品はノートPCである。
が、どの程度売れているのかは不明だ。というのは、パンティップあたりでも、
店頭で店員と話し込んでいる客の姿は見掛けるが、実際に買われているシーンは見たことが無いからだ。
既製品のデスクトップは少ない。しかし、企業ではまだまだデスクトップは第一線で働いている。
つまり自作PCであり、そのパーツ供給を担うのがパンティップなのである。
ノートの売れ筋は、やはり13〜15,16インチのスタンダードまたはデスクトップ・リプレイスメント・クラスだ。
ネット・ブックは売られていてこそすれ、売れてはいない。
所詮、会社で使うには2スピンドルであって、光学ドライブを持たないネットブックは、趣味の域を出ないのだ。
数年前に、発展途上国向けに低価格・廉価PCが話題になり、IntelのAtom等はその流れだと記憶している。
しかし、普及機とはどのような定義か。コンピューターが普及している国や企業の人達が
高いパソコンが発展途上国では売れないからと、安いパソコンを開発したところで、売れるわけがない。
買えようが買えまいが、欲しいとなったら良いものが欲しいのは誰でも一緒だ。
携帯電話のように必要性の高いものならともかく、1台もパソコンを持っていないのだから、
何が出来ないあれが出来ないとなっては、いっそのこと買わない方が損もしない。
バカにするな、ということだ。
パソコンメーカー各社は、自分が買う立場になって(貧しい国の人達の心境になって)考えてみるべきである。
PC一台買ったところで破産するわけではない、そんな人間には何年も貯金して
一大決心してPCを購入する人の心境など分からないのである。
写真撮影について。ここから後半、写真コーナーに移行するが、一般のデパートに比べて、
ここパンティップは明確に撮影禁止されてはいない。恐らくガードマンに見咎められれば、
「他の客への迷惑」になるからと、撮影は遠慮するよう言われるかもしれないが、
まず店員には何も言われない。今回パーツにしても価格表にしても、店員に「撮影して良いか?」
と聞いて、皆快く承知してくれた。これが例えば前回のデパートであったりすると、こうはいかない。
ブスな店員が寄ってきて「ハーム ターイ ループ ナ カー(撮影禁止です)」と言われるのが落ちだ。
Pantip Plaza最強マップ【 html版(362KB) 】 【エクセル版(95KB)】
いずれも店内ガイドと交通アクセスがワークシートで2ページに分かれているので、
お見逃し無き様ご注意いただきたい。
入口(外)にて。のっけからAMDの広告がお出迎え。良い感じだ。
入口。入って直ぐの様子。2階の食堂が見える。
このような光景は日常茶飯事。職場でダイレクトに食べている店員もいる。
このスタイルはタイ人にとって違反ではない。空港ですら見掛けるほどだ。
全景。
M階からの撮影。1Fの露店が丸見え。
前回紹介したAcerのモデルがVISIONの販促キット付きだったので激写。VAT抜きの価格。
多くのパーツ・ショップがこのようなPOPを掲げている。写真は文字も大きく見やすい例だ。
パーツ激戦区の3Fではほぼ全てのショップが同様の物を持っている。
これは4Fの店のCPUプライス・リスト。Phenom II X4 965BEの9,100THBはかなり安い方だ。
以下2枚は2Fでの撮影。
2FのノートPCショップ。僧侶の姿が。僧侶の中にはパーツショップで話し込む猛者もいる。
集団で見物に来ていた僧侶達。
BenQの面白いモデルを見つけた(クリックして拡大)。
モデル名を始め書き間違えだらけだ。Intel AMD Sempronとは何ぞや?w
ブス店員に間違えを指摘してやったところ、「別にあンたが買うわけじゃないんだから良いじゃない」と
ふてくされたように言われた。顔の悪い女は頭も悪いということか。
商品詳細はこちら
最新パーツがずらりと並ぶ。分かり難いが、中段下にはPhenom II X4 965BEが。
取材時で、恐らく現行プラットフォームに対応する最安CPUだからであろう、
Sempron 140が無駄に多く見受けられた。
高額なため日本と違いRadeon HD 5870の在庫も比較的豊富だ。
3Fのエスカレーターと本屋の裏にあるドリンク・スタンド。嬉しい配慮だ。
1Fと4Fにはハイエンドを謳う店が何件かある。
この「J.I.B.」というのはチェーン店である。
左:Windows 7も新製品(タイでは音楽CD/DVD等ソフトは特に消耗品である)であるためか
多く見掛けられた。価格はHome Premiumの単体版で3,350〜4,650THBと店によりまちまち。
もちろん英語/タイ語版のみで日本語版など無いのだが...写真は5Fの店。
右:5Fの電源ショップ。DTECHの電源が山積みだ。
以下2枚、4Fの中古パーツとサプライ用品店の様子。
左下、CPUのリテール・パッケージに付いているプラ・ケースを売っている。
閑散とした5F(左)と6F(右)の様子。
5Fに表への出口があり、扉を抜けると・・・
眼下に信じられないような光景が広がっていた。
中古ショップでは、古いパソコンから取り外した部品が色々売っている。
この値段はちょっと高いが、恐らく幾らでも値下げ可能だろう。
写真中央、Duron 650MHzを発見。300THBと言われたのだが、200THBに負けさせて、
お土産に買ってしまった。後で別の店で600MHzなんてのも見掛けたのだが、まあいいだろう。
コンビニでアルコールを買い、家に帰ってきてからクリーニングしたところ、
コアが欠けていた(コア上部がギザギザしているのがお分かりいただけるだろうか?)。
まあ使うことを考えていたわけではないので良いのだが。
今回は前回のようなキャンギャルが見当たらなかった(居るには居たのだが全然可愛くなかった)ので、
サービス・ショットはこれで勘弁していただきたい。パンティップのキャンギャルは通常
各階を通して1人か2人、入口外か、1,2,3階のいずれかに居るだけである。
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