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■2018年6月10日:神の代理人

クリックして拡大  原題:タイトルと同題 (1972年日本、中央公論社)
 著者:塩野七生/1937- 日本生
 新潮文庫版初版:2012年11月1日
 第2刷時価格 2015年12月25日: 750円
 巻数: 単巻
 品番: し12-42
 管理人読了日: 2018年4月14日
 映画化:未
 映画題名:
 映画主演俳優・女優:
 
 日本語DVD化:−
 

キリスト教というのは、古代ローマ時代に生まれた宗教で、
その後ローマの国教と呼んで差し支えない状態まで浸透した宗教だが、
そのキリスト教から見て、ゼウス(ユピテル)をはじめとする
古代ギリシャ(ローマ)の多神教は、邪教だった。

古代ギリシャの神々の彫像が、腕がなかったり鼻がもげていたりするのは、
長い年月を経た結果破損したものが全てではない。
多くは、キリスト教徒が破壊したものだ。

なぜなら、キリスト教徒にとって、自分たちの神以外の神は、
認めるべきではないからだ。

ルネサンスというのは、古代ギリシャ・ローマの文化や芸術を見直す運動、
というか風潮であり、当然のこととして当時生きる人たちが
現代の「イノベーション」のように振りかざして生きていたわけではなく、
ブルクハルトその他後世の歴史家・研究者が分類したものだ。

そのため、時代区分として明確な区別はない。


本書は、そのルネサンス期に生きた4人のローマ法王を描いたもの。
本書に収めている法王は以下の通り。

在 位 本書にて描かれる主な詳細
ピオ二世 1458-1464 オスマン朝に対して十字軍を起こそうとするが失敗
アレッサンドロ六世 1492-1503 修道士ジローラモ・サヴォナローラを異端とし破門、後に処刑
ジュリオ二世 1503-1513 統治の殆どの期間を、周辺国を巻き込みフランスとの戦争に明け暮れる
レオーネ十世 1513-1521 平和的な統治を目指し、ローマにて様々な祝祭を挙行、浪費する

このうち、最初のピオ二世を読んだところで、舞台は15世紀中ごろのこととて、
読者は何だよ、キリスト教徒ってのは何をやっているのかね、
トルコの脅威がすぐそこまで来ているのに、と思うことだろう。
また、法王の命に従わない君主を見て、
だったら自分の家の庭先にトルコ軍が迫るまで放っておけばいいのに、と感じるだろう。

ところが、キリスト教徒というのはそうなのである。
内輪もめばかりしていて、団結して攻めてくるイスラム教徒に比べて、情けない限りだ。
中〜近世に掛けて、ヨーロッパ勢がイスラム教徒に押され気味だったのは、ここに原因がある。

そして、十字軍の招集も、法王の死とともに雲散霧消する。
その終わり方も、何とも煮え切らない終わり方で、塩野七生の小説家としての腕が冴える。


第2章とそれ以降の法王の紹介もこの調子で展開する。

ルネサンスとは、日本では、まったく関係ないのに最近ではよく目にする言葉だ。
その言葉の意味を知っていても、史学上での使われ方の本当のところまでは
知らない人の方が多いと思う。

学校の歴史の時間で習っても、あんなものは単なる受験勉強だ。
その中身を大人になっても覚えているものなどいない。

本書を読めば、ルネサンスという時代が、キリスト教徒にとってどのようなものであったのか、
その時代の西欧に生きる人々の暮らしぶりどんな塩梅だったのか、よくわかるだろう。

そんなことを知ってどうする?何の得がある?という人は、
多分隣の席に座っている人が何を考えているのかも、考えない人だろう。


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