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■2016年9月11日:ロードス島攻防記

クリックして拡大  原題:タイトルと同題 (1985年日本)
 著者:塩野七生/1937- 日本生
 文庫初版:1991年5月25日 新潮文庫
 初版時価格:360円
 巻数:単巻
 品番:し12-4
 管理人読了日:1991年7月
 映画化:未
 映画題名:
 映画主演俳優・女優:
 
 日本語DVD化:−
 

さすがに20年以上前のことなので記憶が曖昧なのだが、
どうやらこちらの方が「コンスタンティノープルの陥落」より先に読んだようである。
上記レビューにも書いているが、学生時代世界史に熱中していた当時の私にとって、
本書と「コンスタンティノープルの陥落」、「レパントの海戦」の三作は
3巻のバイブルであった。

巻末の解説では褒めすぎと受け取れるくらい、著者を絶賛しているが、
それでも行き過ぎということはないだろう。

読者は、著者の作品を通じて、歴史を学びつつ、
なおかつ日本語の語彙の習得も可能であり、
さらにまるで物語の舞台である当地を旅行したかのような体験を得る。

読書ならず、映画等を見て感銘を受け旅行に出る人もいるが、
トルコへ旅行した私はそのことを身をもって経験している。

ローマ人の物語」とTotal War Attilaをプレイしている最近では、
パルミラに行きたくて仕方がなくなっている。
もっと昔、教養文庫の「世界の七不思議」という本を読んだが、
世界の七不思議というのは時代や考証者によって取り上げられる事物が
変わるものだが、パルミラの遺跡は18世紀に発掘されるまで、
世界の七不思議の一つに数えられていたというのだ。
遺跡が見つからなければ謎として数えられてもそれこそ不思議はない。
とはいえ、パルミラは今は戦禍の真っただ中なので、行きたくても行けないが・・・


ところで、本書の話だが、ヨーロッパの歴史には宗教騎士団というのがあって、
大きなところではロードス島(後にはマルタ島)を本拠地にした聖ヨハネ騎士団
テンプル騎士団、ドイツ(チュートン)騎士団の3つがあった。

これらのうち、聖ヨハネ騎士団はイタリアのアマルフィの商人がエルサレムで設立した。
最初は、病院だった。それが、十字軍の結果、十字軍というのは目的を果たした後、
兵士たちは帰国してしまうので、占領地を守るための兵が必要になる。
それで、宗教騎士団は軍隊として発展したのだ。

イタリアの商人達にとっても、中東貿易のため、聖地は必要だったのだ。

1291年にマムルーク朝によってアッコンが陥落し、パレスチナの十字軍国家が
全滅すると、聖ヨハネ騎士団も脱出してしばらくさまよったのち、ロードス島に居を構えた。
マムルーク朝といえば、5代スルタン・バイバルスがモンゴルをも退けた王朝。
団結の悪いキリスト教勢力には、相手が悪かった。

そして時は経ち、今度はオスマン朝が騎士団の敵となる。
騎士団はロードス島を根拠地にイスラム教徒に対する海賊行為もしていたから、
コンスタンティノープルの占領後も、西に向けて侵攻中だったオスマン朝にとっては、
まさしく「喉元のトゲ」で、しかも当時のオスマン朝のスルタンは、
後に「大帝」と称される若きスレイマン1世。

壮絶な攻防戦は、読めば没頭間違いなし。


騎士団はロードス島で敗北してマルタ島に移ったのち、再びオスマン朝と対戦しているが、
その時の様子は「ローマ亡き後の地中海世界」の第4巻に詳しく書かれている。

ところで、ロードス島には「アンソニー・クイン・ベイ」なる湾があるらしい。
映画の影響だろう。
行ってみたいものである。

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