■2023年4月22日:最後の国境線
原題:THE LAST FRONTIER (1959年イギリス) | |
著者:アリステア・マクリーン Alistair MacLean/1922-1987 イギリス生 |
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文庫初版:1977年2月15日 ハヤカワ文庫 | |
初版時価格: 430円 | |
巻数:単巻 | |
品番:NV132 | |
管理人読了日:2023年1月7日 | |
映画化:未 | |
映画題名:未 | |
映画主演俳優・女優:未 | |
日本語DVD化:未 |
またマクリーンの古い小説を掘り出した。
時は1956年の動乱後のハンガリー。
この当時、ハンガリーは社会主義国だった。
ハンガリーといえば、マジャール人といって、
ウラル山脈を起源とする遊牧民族が主を占めている。
彼らは、遊牧民族ならではで戦に強く、オスマン朝の最盛期には
よくその進撃を食い止め、1526年のモハーチの戦いで敗れるまで、
オスマン朝の西欧への浸透を防いだ。
その後、第2次大戦後はワルシャワ条約機構の一員として、
ソ連崩壊までその衛星国のひとつになった。
作品の方に戻るが、主人公で英国諜報部員のレナルズ大尉は、
誘拐された弾道学の権威、ジェニングズ博士を救出するため、
単身ハンガリーに潜入する。
そして接触予定だった抵抗組織に潜入早々捕らえられ、
紆余曲折の末共闘し、AVO(ハンガリー秘密警察)を相手に
壮絶なスパイ合戦を繰り広げる。
エピローグも、独特の悲哀感に満ちた余韻を残す。
まことに5〜60年代の傑作である。
マクリーンお得意のスパイ活動の描写は、
辟易するほどややこしい。
しかし、この当時、冷戦時代のソ連の衛星国というのは、
この類の本を読んでいるとわかるが、
まさに本作に描かれるような警察国家だったのだ。
現代においてもまだその風潮を残す国に、
中国、北朝鮮、ミャンマーの3国がある。
みっともないことにすべてアジアだが、
これは偶然の一致ではないと思う。
良いことも、悪いことも、進歩思想は西洋から生まれる。
我々アジア人は発想の転換が必要だ。
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