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■2013年8月31日:AMD FX-4350 Review

先日購入したAMD FX-4350を早速組み込んでみた。

あまりにもしばらくPCをいじくっていなかったので、最後にCPUを換装したのがいつだったのか忘れてしまった。
とにかく、最後にベンチをとったのはコレだと思う。
そして、マシン構成はこちら
この表のうち、CPUが4100から4350に代わっているだけである。但しOSはW8に移行済みだ。
4100は4.2GHzにクロック・アップして使っていたので、純粋にCPUコアのアーキテクチャーの性能比較が可能と考えた。

当然、BIOSの更新は必要なはずで、前回更新した際に使用した「Q-Flash」を実行してみたが、
何故かFLASH DRIVEにコピーしたBIOSファイルは認識せず、HDDにDLしたBIOSを発見したようだった。
面倒なので深く考えず、どちらでも同じとBIOS更新を実行。

私のマザー、GIGABYTEの970A-D3 rev.1.0は最新BIOSのF11でも、FX-4350は対応リストに載っていないが、
載っていなくてもいいじゃん別にと更新を掛けたが、無事認識された。
さすがGIGABYTE、由緒正しいマザーだ。

ただ作業中、焦ってCPUクーラーの電源ケーブルを差し忘れ、再起動が掛かった。
昔の電源はこんなお利口ではなかったのでボンッ!と音を立ててお陀仏していたところ。
いやいや電源で済めば運が良い方だ。

Windows 8のWindows エクスペリエンス インデックス
CPU-Z
全然と変わってねぇじゃん・・・
思わず「ぐぬ...」と唸ってしまった。
まるでベジータが悟空に及ばないと悟ったときのような心境だった。
CPU-ZではCore Speedの値はころころ動いていて、
稀にに4,300台も表示していた。


気を取り直して3D MARKを取ってみた。

3D MARKのSCORE:
06: 18278
11: P5537

<3D MARK 06 SCOREの総合結果はこちら
<3D MARK 11 SCOREの総合結果はこちら

ようやくまともな数字が出てきた。11はダントツでトップ、06も最大値はPhenom II 965BEのものだが、
それでもまずまずの数値である。この結果を見てやっと満足できた。

但しもちろん、体感上は何も変わらないので悪しからず。(笑
そして元々TDPが125Wの品なので、クロック・アップは行わなかった。

これでようやく次の世代あたりのFXからはPhenom IIを超えられそうな目処が立ったといえるだろう。


今回のアップグレードのマイナス点として、クーラーの騒音がうるさくなった。
ウゥ〜ン、ウゥ〜ン、と始終唸っている。
この電源は以前Phenom IIを使っている時(550BE,965BE)に騒音の症状に悩まされ(別に悩んではいなかったが)、
その後FX-4100に換装した際に症状は直っていたのだが、また再発してしまった。
まあデスクトップなので静音などという女々しいことは言わないが。


AMDのFXは性能が低いとさんざん叩かれている。
しかし、実際のところはFXは決してPhenom IIの二番煎じではない。
FXというCPUは、それまでのPhenom IIに対してマルチコア性能の向上を狙ったものである。
が、雑誌やインターネット等に掲載されている解説を読んでも、イマイチ良く分からない、という方は多いだろう。
私も分からない。何が言いたいんだ?とお門違いの腹立ちを覚えることすらある。

そこで、今回は技術的な解説はすっぱり切り捨てて、物凄く簡単に解説しようと思う。

 FXとPhenom II CPUコアの違いの略図
FX Phenom II
x4 命令デコーダ(各コア共有) x3 命令デコーダ(1コア)
コア1 コア1と2で共有 コア2
整数演算
ユニット
整数演算
ユニット
浮動小数点
演算ユニット
整数演算
ユニット
整数演算
ユニット
整数演算
ユニット
整数演算
ユニット
整数演算
ユニット
浮動小数点
演算ユニット
これが一つのモジュールで、デュアルコアに相当する ひとつのコアにこれだけ入っている
仮に4コアCPUとして計算すると
デコーダ性能 x8 デコーダ性能 x12
整数演算ユニット数 x8 整数演算ユニット数 x12
浮動小数点演算ユニット数 x2 浮動小数点演算ユニット数 x4

これだけ見れば、バカでもPhenom IIの方が性能が上だということが分かるだろう。
しかしながらこれらのユニットは各ユニットそのものの性能は従来より向上しているし、
CPUの構造以外の面でもFXはPhenom IIに対して
 ・動作クロックそのものが高い
 ・搭載するキャッシュ総量が多い(少ないモデルもあるが)
 ・各種の新しい拡張命令に対応している
以上のような理由から、AMDは前より性能は良くなるだろう、と踏んだのだ。
ところが、残念ながら凶と出た。消費電力が上がってしまったことも誤算らしい。
マルチコア性能も、予想していたほど性能は上がらなかった。

もちろん、新機能を積極的に使えばもっと性能は向上するし、そのことは3D MARK 11の結果にも表れているが、
ハードウェア技術の向上に対して、ソフトウェアの技術の普及はAMDが望んだほどには進んでいなかった。
よく言われるようにどんな業界でも、ハードウェア技術者に対してソフトウェア技術者の方が多い。
プログラムを書く人たちにとって、新しいやり方など面倒臭いだけなのだ。
それに、ソフトウェアを書き換えることによっても互換性問題は発生するから、やはり容易なことではない。

性能低下の原因としては、デコーダーを各コア毎に保有していないことが効率の低下を招いたと言われている。
これに対して現在、FXは第1世代のBulldozer/Zambeziコアから、第2世代のPiledriver/Visheraコアに移行しているが、
ここでの改善は小改造に留まっているので、さほど性能は向上していない。
次のSteamrollerコアでは、このデコーダーを個々のコア毎に独立させて、性能向上を図ってくると見られている。

AMDとしての見解は「自動作成ツールを使ったから」としている。
それは手抜きだし言い訳にしかならないが、誰にもAMDは責められない。
良く雑誌などでは酷評されているが、後から言うのは簡単である。
しかし、こういうものというのはやってみないと分からない部分が多いのだ。

さらに、FXの場合上図からも分かるように、マルチコア化した場合シンプルな構造となるため、コストにも良い影響がある。
事実Bench Markの結果を見ていただければ分かるが、もちろんTOP SCOREはPhenom IIのものだが、
FXは同性能のCPUに対して割安である。

AMDにとって全て裏目に出てしまった形だが、ここで重要なのは挑戦することであって、
現在Intelのx86コアに対抗する事業を行っているのは、AMDだけであるということを忘れないでほしい。

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