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■2015年6月14日:デッド・ゼロ

クリックして拡大  原題:DEAD ZERO (2009年アメリカ)
 著者:スティーヴン・ハンター
     Stephen Hunter/1946- アメリカ生
 文庫初版:2011年12月10日 扶桑社ミステリー
 第2刷時価格: 上下巻とも848円
 巻数:上下巻
 品番:ハ19-20,21
 管理人読了日:2012年1月8日
 映画化:未
 映画題名:未
 映画主演俳優・女優:ー
 日本語DVD化:ー

最新作を紹介した後になってしまったが(というかさらにその後の作品が刊行済みだが)、
もう1作ハンター小説を取り上げる。

本書もまた、ここのところ戦争スリラー作家にとって、
豊富な題材を提供しているアフガニスタンに材を採り、
ハンターがスナイパー小説を放つ。

本書では、アール、ボブに続きスワガー家の系譜を継承する新たな男が登場する。
その名は「レイ・クルーズ」。
ハンターのこの次の作品も”レイ”もので、妙にゴロのいいネーミングだが、

今作でレイの獲物となるのは、”アフガニスタンのクラーク・ゲーブル”と称される、
金持ちの元テロリスト、ザルジ。
その人物が善玉に心を入れ替えた、とのことでアメリカ政府の賓客としてもてなされる。

元はテロリストだった人間をアメリカがもてなすとは思えないのだが、
そこはそれ、小説なので、様々な嘘発見器系の審査をパスしたとして、
彼はアメリカ入国を果たす。
しかしその腹積もりにはやはり邪悪なものがあった・・・

一方、アフガニスタンで相棒のスポッターを殺されたレイは、
元々ザルジを標的としており、その作戦行動中にとある傭兵グループに命を狙われ、
辛くも合衆国に戻り再度ザルジを狙うも、再び傭兵団が出現する。

そこに往年のメンバー、ボブ・リー・スワガーや、今やFBI副長官となった
ニック・メンフィスも加わり、かなり複雑な人間模様となっている。


ボブ・リー・スワガー後期三部作である、
「四十七人目の男」・「黄昏の狙撃手」・「蘇るスナイパー
に勝るとも劣らない傑作である。

アメリカの作家の例にもれず、ハンター作品はきついジョークが
方々に散りばめられているが(殆どページの半分はジョークで
埋まっているのではないかと思えてくるほどである)、
訳者あとがきにもあるが、とにかくユーモアが冴える一作である。

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関連記事:

■2015年1月18日:第三の銃弾
スティーブン・ハンターの最新作の主人公はレイ・クルーズで、そのちょっと前の最近の作品ではその父ボブ・リー・スワガーが主人公だが、さらにその父、アール・リー・スワガーを主人公とするシリーズがある。■2014年2月14日:悪徳の都
本書はアメリカの”ワル”共を描いた作品だ。だが本作品に登場する”ワル”共は空豆タローのような”ワル”とは訳が違う。文字通り現代アメリカで問題になっている集団射殺事件の犯人のような連中が、我が物顔で街を闊歩する。何しろバキュンバキュンバキュンバキュンバキュン・・・ときたもんだ。■2013年5月6日:ダーティホワイトボーイズ
・米国で著名人が狙撃・射殺される事件が3件相次ぐ・上記の一連の事件はベトナム戦争時の海兵隊トップ・スナイパー、カール・ヒッチコック (実在の狙撃手、カルロス・ハスコックがモデルで、ボブのモデルともなった)の犯行と目される・カール・ヒッチコックが自宅で自殺と推定される状況で発見される 以上の状況により、FBI特捜班主任ニック・メンフィスは「極大射程」で親友となった、海兵隊元スナイパー、ボブ・リー・スワガーに協力を求める。■2012年7月5日:蘇るスナイパー
スティーブン・ハンターはその著作が全て時系列的に繋がっているということで名を馳せている作家だ。しかも凄いところは、順番に発行されているわけではないところである。私も初めて読んだのは「狩りのとき」で、最初何だか良く分からなかったのだが、アール・リー・スワガー・シリーズや「ブラック・ライト」、そして本書を読むにつれて、次第に内容が分かってきた。「ダーティホワイトボーイズ」や「クルドの暗殺者」までストーリーが繋がっているのには驚かされる。だが最も秀逸なのは本書である。■2012年2月2日:極大射程



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