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■2014年3月26日:暴虐の大湿原

クリックして拡大  原題:THE KHUFRA RUN (1972年イギリス)
 著者:ジェームズ・グラハム(ジャック・ヒギンズ)
     James Graham (Jack Higgins)/1929- イギリス生
 文庫初版:1987年12月25日 角川文庫
 初版時価格: 460円
 巻数:単巻
 品番:544-3
 管理人読了日:2013年7月9日
 映画化:未
 映画題名:−
 映画主演俳優・女優:
 日本語DVD化:

またしてもジャック・ヒギンズの別名義の作品。

本書は、「悪魔と手を組め」とプロットが非常に似ている。
しかしながら舞台年代も、登場人物の動機も、全く異なる。


年代は70年頃のアルジェリア。現代を生きる我々にとっては想像もつかない世界である。
ベトナム従軍経験を持つ元イギリス空軍のパイロット、ネルソンはスペインで水上機を駆り、
こういった人々にありがちなチャーター業を営んでいた。

そんなある日、とある尼僧が訪ねて来、生地アルジェリアで独立戦争の際失われた
教会の財宝の引き上げを手伝ってほしいと言う。
この尼僧、はっきり言って読んでいて憎たらしくなるほど自分勝手で、
信仰に基づいた行動だ、と説明されているがそんなものとは無縁の日本人である我々には腹が立つこと然りだ。
まあ、この手の謀略にありがちな裏切りを働くような女性ではなく、
信仰が厚いというか、本当に単なるバカだったようだが。

またこの尼僧は当然のようにアルジェリア軍からも追われており、
ネルソンは戦友で薬中だが向こう見ずなくらい勇敢な友人、タークの力を借り、困難な任務に挑む。
このタークなる人物の奇怪なること、その卓越した戦闘能力に勝るとも劣らぬ不可思議である。

薄気味の悪いアルジェリアの泥沢地ザーザに、野蛮で危険な謎の部族、ヒューサ。
読み手はヒギンズの表現力に引き込まれるように没頭することだろう。
一気に読んでしまえる面白さを持っている。
現代しか知らない我々にとって、この時代の小説というのは未知の世界を見せてくれる。
その魅力は、海外旅行に似ていると言えるだろう。


本書もまた古本屋の通信販売で手に入れた。
もはやそれ以外の入手方法はないであろう。
良質な小説が手に入り難くなったこの時代、なんとも寂しいものである。

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