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■2011年6月19日:MSI Wind Netbook U270 Review

MSIからFusion搭載機が登場した。しかも本命E-350である。
MSIは過去にもAMDプラットフォームPCをU230/250と2機種リリースしているが、
いずれも日本でもタイでも販売されておらず(U230は一度だけパンティップ・プラザで見掛けた
同時にそれが見納めだった)、今まで取材する機会に恵まれず、謎の多いマシンだった。

MSIといえば、マザー・ボード・メーカーとしてはかつては(今もそうなのかどうかは知らないが)
Intelのティア1メーカーとして(他に2社あり、それはASUSとGIGA BYTE)勇名を馳せたメーカーだった。
それが今では日本でも左前でタイに於いては新しいマザーはとんと見掛けられなくなってしまったが、
その同社のノートが、たまたまかどうかは分からないが、
何とはなしに訪れたパンティップ・プラザで見つけたので飛付いた。


天板。写真では分かり難いが微妙に格子模様があしらわれている。
まあワンポイント程度の配色で、特にデザイン性のアドバンテージと
なるものではないので敢えてピックアップはしなかった。webサイトで見ても
U230/250より継承しているデザインだ。逆に言えば
それで価格が安いのであれば現状路線を維持してもらいたいところ。
背面。Aspire OneからSONYと使いまわしているメモリを移植しようと、
内枠の左手のビス1本で裏面パネルにアクセス可能かと思いきや。。。
どうしても一番奥のヒンジが外れない。ツメを折ってしまっては元も子も
ないし、この程度の隙間でもメモリの交換は可能なので、
裏蓋が宙ぶらりんなままメモリ増設を実施した。
保証は2年ということだが請求権はあっという間に吹き飛んだ。
<8/30更新>
「kuruzou」様よりメールにて教えていただきました。
”剥がしたら保証を拒絶します”シールの下にネジがあるそうです。
「kuruzou」様、ご教授いただきありがとうございました。
元から入っていたメモリはエルピーダ製。
CPU-ZではASint Technologyと表示されたが、
チップメーカーとは異なるのかもしれない。
メモリ換装後のBIOSの表示。
元から挿さっていたメモリはバンク2に挿さっていたようだ。
重量を実測した。確かに1.4kgのようだ。


【 スペック 】

・モデル: U270-011XTH
・VISION区分: 無印
・CPU: AMD E-350 Socket FT1 Bobcat core 1.6GHz/L2=512KBx2/18W
・memory:
 標準:ASint Technology PC3-10700 (DDR3-1333) CL-9 2GBx1 200pin SO-DIMM
 追加:Kingston PC3-10700 (DDR3-1333) CL-9 1GBx1 200pin SO-DIMM
 Channel数不明
・Chipset: AMD A50M FCH (Fusion Controller Hub)
・液晶: 12.1"(1366x768pixel) (つるピカ)
・Video: Radeon HD 6310 (integrated)
・HDD: 日立 Travelstar 5K500.B/HTS545050B9A300 総容量500GB/Cache 8MB
     (実質容量465GB) SATA 3Gb/秒 5400rpm 2.5inch
     購入時パーティション:忘れたw
・光学ドライブ: 無し
・Sound: ATI (Realtek) High Definition Audio
・LAN: Realtek PCIe GBE
・WLAN: Realtek RTL8188CE IEEE 802.11b/g/n
・Bluetooth: 2.1+EDR
・Modem: 無し
・指紋認証装置: 無し
・マルチカードリーダー: USB2.0接続
・ports/slots: アナログRGB port(ミニD-sub15ピン)/USB2.0 x2/USB3.0x1 (Renesas Electronics)
         /ExpressCard: 無し
 HDMIports: 1
・その他: webカメラ、マイク
・OS: DOS
・質量: 1.4kg
・バッテリ: 6cell
・バッテリ駆動時間: 実質5時間(実測)


【 価格(VAT(付加税)7%込み) 】

本体: 12,900THB (約34,211円)
OS: 3,590THB
小計: 16,490THB (約43,731円)
クレジット・カードの使用手数料1.65%: 272.85THB
合計: 16,760THB(一桁は切り捨ててくれた)(約44,448円
               カード会社からの請求は45,612円、1THB = 約2.722円計算。内手数料約0.070THB)

(日本円の為替レートは6/5のタイ・バーツのレート 1THB = 約2.652円を参照)

VATはこの店では免除(内税)してくれたが、他店でも同様なのかどうかはその限りではない。


クリックして拡大
液晶パネルを開けたところ。インストールの項で述べるがF9キーにBluetooth
のアイコンが。タッチパッドはファンクション・キーでOFFにしても
休止→復帰後再度有効になってしまうのが不便だ。ユーティリティで無効に
することも出来るが、それでは元の木阿弥だ。
電源ボタンは少し沈んでいてやや押しにくい。
パームレスト左方。型番表示ラベル。パームレストにも天板同様格子模様が
あしらわれている。殆ど分からないが。
パームレスト右側、VISIONのステッカーはやや小ぶりである。RADEONの
ステッカーは例によって自作である。後述するがインジケータ部には
BluetoothのLEDも有るのだが、これのインストールに手こずった。


【性能】

Windows 7のWindows エクスペリエンス インデックスの評価点

3D MARKのスコア
06:2238
11:P275

<3D MARK 06 SCOREの総合結果はこちら
<3D MARK 11 SCOREの総合結果はこちら


まずはW7標準の計測器(?)の測定結果から。
VAIO YBと比較すると、CPUのスコアは同点で、メモリのスコアだけ何故かU270は大きく落ちる。
これはエルピーダがナンヤに負けているということか(笑
後は微妙にU270の方が上だが、以前にも述べたとおりこれは全然当てにならないので、ふうん程度のものだ。
何しろ、やるたびに数字が変わるのだ。

3D MARK系のスコアは、06も11も僅かにVAIO YBに負けている。
が、このテストもその都度結果が変わるので参考程度のもの(VAIO YBは1回目と2回目でスコアが数十点変化した)。
何よりこのテストは、実際の描画からそのマシンがどの程度の性能を持っているのか実感できる。
U270は、このテスト風景の観察に於いては合格だ。
3D MARK 06のスコアで2000ポイント前半と言ったら、GeForce 6シリーズのハイエンドはそんなものだったのである。
技術は進化したものだ。

私は数値評価系のベンチマークというものは行わない。数値だけ見てもピンと来ないからだ。
あるマシンとそのマシンの甲乙を判断する役には立つが、実力を判断する尺度にはならない。
そこへ行くと3D MARK系のベンチマークは前述のようにある程度体感できるので、判断基準にはなり得る。
だがやはり実性能を判断するには、実際にいくつかアプリケーションを走らせて様子を見るしかない。

実使用ではadobe photo shopやHPB、Office 2010系のアプリケーションの起動がややモタつくものの、
それは同一APUであるE-350を搭載するVAIO YBでも同じ程度である。
断言するがオフィス利用に於いてそれほどストレスを感じるレベルではない。

大きなポイントはUSB3.0ポートを備えることだろう。USB3.0対応機器はまだまだ少ないが、
これは他社のE-350搭載機と比較して消費者を捉えるセールス・ポイントとなることは間違いない。

バッテリー性能は、実際に1時間ばかりWebブラウジングに使用して
バッテリー消費率が20%程度だったことから逆算し、おおよそ5時間だろうと評価した。


VAIO YBとのサイズ比較
11.6"(VAIO YB)と12.1"の本機とのサイズ比較を行った。
両機の縦横寸法は殆ど変らない。
正面。U270は正面にはアクセス・ポートは何もない。 背面。U270は背部がかなり膨らんでおり、さすがに国産ノートとの差が
感じられる。
左側面。U270のポートを順に解説すると、
左から電源、d-sub、HDMI、USB3.0である。こうして見てみると
U270はかなり斜めっており、だいぶ底上げされたボディだ。
U270右側面のポート。
左からイアホン、マイク、USB2.0x2、カードリーダにLANポート。


【 インストール 】

今回ASUS Eee PC 1215Tを妻の妹さんに譲るためリカバリする際に、彼のマシンはW7 x64で
インストールに不具合があったので、U270を購入する際に一緒に買ってきたx32版はそっちに使用して、
本機にはx64bit Editionを入れたのだが、小癪にも新しいプロダクト・キーを電話で確認して入力を求める窓が表示され、
仕方なくその作業を行った(その辺の手順はこちらを参照)。W7ではこんなことはないハズだと
勝手に思い込んでいただけにちょっと癪だった。その他、OS、ドライバCDのインストールとも特に問題無かった。
「Fn」キー・ファンクションやタッチ・パッドもドライバ・ディスクの中身をインストールすると、無言で使用可能になっていた。

ただ、付属のドライバCDにはBluetoothのドライバが入っておらず、MSIのサイトに置いてあるドライバを
持ってきてもデバイスが見つからなかった。Aspire One 522の時と同じである。
だが1度目はともかく2度目はさすがにおかしいと考えるもので(何しろ本機にはBluetoothのインジケーターは有るのだ)、
悩みつつ何の気なしにキーボードを見渡していた際に、ふと目に留まったのが「F9」キーと一緒に印刷してある
青いBluetoothのアイコン。この”青い”アイコンというヤツは「Fn」キーと同時に押すことにより機能するキーだ。
で、その操作を行ってみると、
BluetoothがONになりました

あのな〜orz
不親切なメーカーが悪いのか、間抜けなユーザーが悪いのか。
スイッチを入れないとデバイスがONにならないから認識しないわけね。
話が逸れるが本機は無線LANも物理的なスイッチは無く、Bluetooth同様「Fn」キーによるソフトウェア・キーで
ON/OFFを切り替える仕組みだ。

さて、この後、前述のMSIのサイトからDLしたドライバ・ユーティリティにて無事Bluetoothが使えるようになった。
Aspire One 522のBluetoothも同様の方法で使用可能になった。めでたし、めでたし、と言うべきか、
マニュアル等の簡略化故の不備か人災なのかの判断は皆さんにお任せするが、とにかく人騒がせなことである。
そういえばASUSもしかり、acerにしても本機のMSIにしても、台湾メーカーのPCは
細かい機械の使用方法的なマニュアルは紙での添付が一切無く、徹底したコスト削減の方針が窺える。
裏を返せば私のようなテクノロジー・オタクではない一般ユーザーには取っ付きにくい、ということだ。

それからVAIO YBのレビューで述べたセキュリティ・ソフト、「Microsoft Security Essentials」。
VAIO YBのレビューではインストールされる基準が分からないと書いたが、
どうやらWindows Live Essentials 2011をインストールするとセキュリティ・ソフトもインストールされるようだ。
「ソフトをインストールしてくれてありがとう」的なオマケなのだろう。
だがその割にはFusion以外のPCにはインストールされないのは何故なのだろう?
未だ調査が必要だ。


【 付属品・その他 】

外箱。ポウチが封入されている。最初店員は外箱を処分しようとしたのだが、
とんでもない、と言って引き取ってきた。
内装箱。だいぶすっきりしたイメージだ。好印象である。
ACアダプタと電源ケーブル。頑張って小型のACアダプタを用意したのに、
このごっついケーブルが泣かせる。まるでデスク・トップ用の電源コードで、
これで重量100g分位のアドバンテージなど吹き飛んでしまう(笑
店が寄越したオマケ一式。中にはなんだか分からないものまである。
タイでのノートPC購入はこれで6台目だが、
今回のオマケは本当にガラクタだったw


【 まとめ 】

毎回同じようなコメントで申し訳ないのだが、
まず第一にUSB3.0の搭載が一つのキー・フィーチャーとして購入の決め手に挙げられるだろう。
しかしながら本機はノートPCとしてメイン・マシンに変わる性能は持っていない。
グラフィックス性能はともかく、CPU性能は”それなり”である。
但し本機の性格はCULVであり”サブ・ノート”であることから、その役割は十分担えていると判断する。
少々パワー不足であることは致し方ない。

1.4kgという重量とバッテリーで5時間駆動するという携帯するに十分なポテンシャルを持ち、
往年の富士通やSONYの10か11インチの2スピンドル・マシンと比較してべらぼうに安い価格であることを考えれば、
十分評価してやって構わない仕上がりである。
AMDマシンがここまで到達できたことに”x86互換メーカー”であるAMDの意地が見えたような気がした。

そしてSONY(SONYはデザインを売るメーカーなのでこの比較はSONYには酷だが)と比較して
OS無しモデルとはいえ1万円以上も低い価格なのである。同じ土俵のASUSのEee PC 1215Bと比較しても
まだ1万円近く安い。本機が日本で販売されていないことは甚だ残念である。


と言うかこの後6/24に日本でも発表されたのだが、誰かどういうことなのか教えて欲しい(笑
今頃発表するか、E-350を!?

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