■2018年9月21日:Gマン 宿命の銃弾
原題:G-MAN (2017年アメリカ) | |
著者:スティーヴン・ハンター Stephen Hunter/1946- アメリカ生 |
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文庫初版:2017年4月10日 扶桑社ミステリー | |
第2刷時価格: 上下巻とも920円 | |
巻数:上下巻 | |
品番:ハ19-32,33 | |
管理人読了日:2017年7月19日 | |
映画化:未 | |
映画題名:未 | |
映画主演俳優・女優:ー | |
日本語DVD化:ー |
個人的には最近低迷で、直前の作品「我が名は切り裂きジャック」で
スワガー・シリーズを外れた時点で、
(ああ終わったな)と感じたものだったが、
本書にてハンターの調子が戻ってきた。
本書で語られるのは、1930年代の大恐慌下のアメリカギャングたち。
ジョン・デリンジャーの名は聞いたことがある方もいるだろう。
パブリック・エネミー・ナンバー・ワンのデリンジャーの他にも、
ホーマー・ヴァン・ミーター、
チャールズ・(プリティボーイ)・フロイド、
ベビーフェイス・ネルソンことレスター・ギリス、
ジョン・ポール・チェイス
といったコマッタちゃんたちが登場する。
彼らは、史実でも時によりつるんでいた。
だが、本書の悪側の主人公は、デリンジャーではない。
それは別として、
彼らを狩るのは、スワガー家の始祖、チャールズ・スワガー(アールの父)。
この部分は完全にフィクションで、
デリンジャーを射殺した捜査官と名前を一致させているが、
チャールズは「悪徳の都」で既出だからすごい。
(ちなみにハンターのお父さんも「チャールズ」らしい)
悪徳の都でのアールの父、チャールズの描写は、
飲んだくれてよく殴られた、というようなものだった気がするが、
本書でそうなったいきさつが語られる。
ギャングども犯罪者の心理と、軍・警察の叩き上げでも、
一人の男としてのチャールズの心の脆さなどが、
ハンター小説ではおなじみの意外性が絡まって、
最後の100ページはページを繰る手が止まらないだろう。
さらにハンター小説の醍醐味は、マニア垂涎の銃器の登場だ。
本書ではなんと、コルト・モニター
(Browning Automatic Rifleの民生用モデル)が登場する。
ここまでくると、もはや脱帽である。
扶桑社は絶対にハンターを放さないだろう。
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