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■2017年12月4日:裏切りの戦場

クリックして拡大  原題:HUNTER KILLER (2014年イギリス)
 著者:クリス・ライアン
     Chris Ryan/1961- イギリス生
 文庫初版:2016年8月4日 竹書房文庫
 初版時価格: 700円(上下巻とも)
 巻数:上下巻
 品番:ら1-3,4
 管理人読了日:2017年5月6日
 映画化:未
 映画題名:−
 映画主演俳優・女優:−
 
 日本語DVD化:−

前作で主役を務めたダニー・ブラックと、その相棒スパッド・グローヴァーが再登場。
前回シリアで修羅場をくぐりぬけた主人公だが、
彼女も得て現在では比較的安逸な生活を送っているが、
コマッタチャンの兄貴がいることも忘れてはいけない。

今回、その兄貴が主人公と恋人クララの仲を引き裂くことになる。


シリアから戻ってきて本国で任務に就くダニーとスパッドだったが、
首都ロンドンで爆弾テロが起き、連隊(SAS)本部より呼び出しを受ける。
新たな任務自体、所属する連隊から直々に命令されるのではなく、
情報機関から指示されたことがそもそも怪しかったが、
前回登場したSISのクソガキの推薦であったことがダニーの疑念をいっそう強めた。

任務の内容は、前述の爆弾テロを起こした犯人狩りだった。
ダニーは疑惑を持ちつつ行動するが、第2段階ではイエメンに派遣され、
任務の最中、スパッドは重傷を負ってしまう。

余談だが私はイエメンなどコーヒーの産地
(あとは昔ヒムヤル王国があったところ、他にはアデン湾で
米海軍のミサイル駆逐艦コールが攻撃された事件のニュースは今でも覚えている)
ということくらいしか知らず、
この国がムスリムのテロリスト予備軍が跋扈する国だとは知らなかった。


さて、イエメンの任務で裏切者が存在することを確信したダニーは、
なんとか帰国後仲間を集め、まずは先述のSISボーイを痛めつける。
それはいい気味でどうでもいいのだが、
その後真の黒幕が登場し意外な真実を知ることになる。

そして、出来の悪い兄貴のおかげで大事な彼女も失い、
「いつものように独りぼっちになった」。
この「独りぼっちになった」がいつまでも余韻として残る。


本シリーズは次回作でも続くようである。
回を重ねるごとに新たな視点で世界の暗部を見せてくれるクリス・ライアン。
ダニーにはかわいそうだが、次作も期待して良さそうだ。

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