■2021年6月19日:レッド・メタル作戦発動
マーク・グリーニーの番外編というか、異色作である。
共著者がいるようだが、まさかグリーニーがこの手の、
「米国 vs 中国」みたいなタイトルに手を染めるとは思わなかった。
しかも、米国 vs 露助だから、その王道を行っている。
この構図は、冷静時代のものであり、本当なら時代錯誤になるところだった。
現代はイデオロギーの戦いから、
キリスト教vsイスラム教という、宗教の戦いに逆戻りしかけていたからだ。
ところが、である。
コロナウィルスのおかげか、ムスリムの聖戦士たちもなりを潜めており、
まさにイデオロギーの戦いに戻ろうとしているのかもしれない。
冒頭で一歩引いた感を出したのは、
私はあまりこの手の作品が好きではないからだ。
趣旨として、架空の話でも、全面戦争を持ち出すのはどうかと思う。
ガキが真似する。
特に、紛争の元がレア・アースとあっては、
戦場にされたポーランドとケニアにとっては、いい迷惑である。
それでも、小説は面白かった。
サムイ滞在中に読み始めて、他のことをやっていて中断し、
後半は少しだらけたものの、終盤100ページほどは一気に読んでしまった。
リアリティは上出来だ。
ステルス戦闘機でも、ミサイルで撃墜される。
ロシア軍というのは、ソビエトの時代から、地対空ミサイル(SAM)大国だった。
対して、米軍は、地上発射型の対空兵器にそれほど力を入れていない。
航空優勢が圧倒的だからだ。
本書では、わけあって米国はその有利な力を削がれており、
地上戦に持ち込む、というのが本作でのロシアの戦術だ。
敵の主戦力を無効化する、という戦術の基本をついたストーリーだ。
、 、
本編のジェントリー・シリーズの新作にも期待が持てそうだ。
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