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■2020年6月6日:今度は食中毒!?

まったくついてない。
前の週に病院に行ったばかりなのに、
1週間もしないうちにまた世話になるとは思わなかった。

5/7のこと、会社にて17時頃、少し空腹を覚えたので、
(わが社の定時は8時-17時であり、17:00〜17:20までが、
残業前の休憩時間なのだ)
売店に行き5バーツのちっぽけなあんパンを買った。
「トゥア ダム」と書いてあったので、「黒豆」か。

その辺のコンビニでも売っているような、既製品である。
タイの場合、その辺の業者で作っているような、
もろに手作りのお菓子や菓子パン等も会社の売店で売っているのだが、
それらは稀に時化ていたりカビていたり、
包装がほこりだらけのことがあり、”危険”なので、
できるだけ既製品を買うようにしている。


17:30、便意をもよおした。
トイレに行く。
朝も用は足したはずなのだが、結構出た。
若干、不吉な予感がしていた。

5分後、もう一回トイレに行く。
もう後半は下痢である。

胃腸も痛むようになってきた。
まいったな〜という感じで、恐らく次が来ることも予想できた。
この時点で、上司に先に帰ってくれるように頼んだ。
(乗合車であるため)

3回目、もうコレラみたいなものだった。
むしろ爽快だった。

ハーフタイムに、とりあえず立ち上がる。
足に力が入らない。
吐き気もしてきた。

完全に食中毒の症状だ。
やばい。


私は小心者ゆえ、吐くのが極度に苦手である。
子供の頃、風邪をひいて吐いたりしたことは何度もあるだろうが、
酒も飲まないので酔って吐くはずもなく、
成人してから吐いた回数は数えるほどしかない。

1度目は20ぐらいのころ、アルバイト先のとんかつ屋で、
板さんが昼頃ミスオーダーしたエビフライを、
閉店後におやつにもらった。

食べた時点で多分5,6時間経ったものだったのだろう。
帰宅して盛大に吐いた。

2回目は2006年。
夕食にJTの冷凍食品で味噌カツなんとかを食べて、
しばらくしてからこれまた盛大に吐いた。
「ウェッ」という声が漏れるとは思わなかった。
この時は若干熱も出て、病院に行った。

恐らく、これは中国の食中毒事件の一部だ。
当時、報道された際の製品パッケージに、同じものがあった。

その後、15年近く吐いていない。
3〜4年前、タイの病院でウィルスか何かをもらって食中毒になった際も、
熱は出したが吐きはしなかった。

この日も、何とか吐き気は抑えこんだ。


それで、今回のケースだが、
菓子パンがあたるなんて、どんだけ不運なんだ?という話である。
コロナウィルスに感染するのより、若干マシ程度のものではないか?
むしろ確率的に言ったら、先週も病院に行って、またこのざまでは、
よほど日ごろの行いが悪いとしか言いようがないのではないか。

しかし、朝はau bon painのハムしか挟んでいないベーグル
(コレステロール値が上がるのでクリームチーズも除けてもらっているの)で、
昼はネギ塩焼き豚弁当だった。
これは和食で、会社の顧問が経営する日本食店が、
ここのところコロナ渦を不憫に思って、弁当を差し入れしてくれているのだ。

朝と12:00に食べたものが、17時にあたるか?

それは考えにくいだろう。
弁当は30人以上の日本人が食べているので、
一人だけあたるというのはおかしい。

私の経験で言わせてもらえば、今回の件は
体の免疫系が即座に不純物を排出した感じだった。
なぜそう考えるのかと訊かれれば、特急だったからだ。

さらにさかのぼると、前日の晩はやよいの味噌カツ弁当だった。
カツは油がきついが、この日は絶好調だったので、
問題ないと判断したのだ。

それが翌日に来るというのも、考えにくいだろう。


4回目は、我慢できるレベルだったのだが、
まず今回のケースのような場合、何がやばいって会社で具合が悪くなるのがやばい。
我々の場合、家まで1時間(今でこそコロナの影響で道路は空いているのだが、
従来であれば1時間半〜2時間は普通にかかる)、車に乗らなければならない。
加えて、熱も出るかもしれない。

そこで、帰宅するまで持つかどうか、
とりあえず様子を見ることにしたのだ。

4回目の結果だが、もうほぼ水である。
中身はほとんどなかった。
さらに、もう苦しくない。
へっへっへ、多分大丈夫だぜ。

さらにその後しばらく待って、どうももう峠は越えたようだったので、
運転手を呼んで帰宅することにした。

18:30だった。
何だったのだろう。
小さな菓子パンだったので、すぐになくなったのだろうか。
この時点で、病院には行った方が良いと考えていた。
ウィルスや菌の類だとしたら、自然治癒に頼って数日続くのはつらい。


19:30ごろ、サミティベート病院に到着。
通常の受付にほとんど人はおらず、何の部門かは分からないが、
その辺の看護婦が4〜5人たむろしている窓口に近づいて、
「食中毒なんだけど誰かおらへん?」と訊いてみた。

その辺でお待ちくださいと言われて座っていると、
電話機の子機を渡された。
電話機の向こう側でちびまる子みたいなやつが何かもぐもぐ言っているのが聞こえる。
耳を澄ますと、私にも理解可能な言語であることが分かった。
日本語だ。

「ハイ、そこの窓口はもうやってないんですね」
へぇ、そうかい。
「窓口 Cに行ってください」
窓口 Cってどこにあるの?
「げんのーんのあるところの右側です」
げんのーんって何ですか?
「ピアノです」
(確か、ピアノはタイ語でもピアノのはずだ)
ああ、ピアノね。

そこの窓口には、「4」と書いてあった。
数字の4は、タイ語で「シー」と発音する。


さらにそこで待っていると、今度はマスクをしていたので分からないが、
推定60 %くらいの確率で日本人と思われる女性係員がやってきて、
緊急病棟に案内してくれた。

そこに行くまでの間、若干距離を開けて先導しているのが気にかかった。

そこは、前々回来たところと同じ。
すりガラスになっており、中が見えない。
様子が変だ。

この部屋はベッドと椅子がセットで置かれてあり、
そういう区画が3つか4つあって、それぞれをカーテンで仕切れるようになっている。
とりあえずそこで待てとのこと。
寝ていてもいいとのこと。


先客がいた。
マスクをしており、それほど具合が悪そうには見えないが、
目つきはうろんとしていた。

差し当たって、私を殺すために送り込まれた刺客ではなさそうだ。

すぐ横にそこの区画の受付があり、
4〜5人の看護婦だか緊急隊員が詰めている。
その中の一人が、だれかに向けてがなっていた。

「熱があって下痢してる患者だよ」
私のことか?

ちょいと首をめぐらすと、
すぐ脇に医者らしき長身の眼鏡をかけた男性が立っているのが見えて、
露骨に「まいったな」という顔をしていた。
目が合った。
バツが悪そうな顔になった。
ざまみろ。

その男性が、看護婦であろう、もう一人小柄な女性を連れて入ってくるのと同時に、
別の方向からハルクみたいな背格好でこちらも眼鏡をかけた背広の男性が、ほぼ走ってきた。
急いでいたのでちょっと不審に思ったが、銃は持っていないようだった。

その男は通訳で、こう言った。
「熱は何度ですか」
熱なんかないよ。
「会社の従業員の方に、コロナウィルス感染者はいらっしゃいますか?」
いないよ。
「コロナウィルスに感染している方と接触されましたか?」
分かる範囲ではないね。
「今日はどうされましたか?」
質問の順番が違うんじゃないのか。


恐らく、別の通訳と電話で話した段階で、
通訳は私の声が弱っているとかなんとか感じて、
コロナかもしれないと、未確認情報を流したのだろう。
迷惑なことだ。


私はこれまでのところをざっと説明した。
熱も測られたが、当然そんなものはない。

「痛みはありますか?」
最初はあった。チクチクするような。今は収まっている。
「刺すような?」
そうそう、でもたいしたことはないよ。
「水みたいというのは粘膜?」
そんな感じだね。緑茶みたいな色だよ。

まだ空腹感もある。

触診もされたが、何ら異常は見られなかったようだ。
彼らはあんぱんの話には興味ないようだった。
私の朝食も、昼食も同様のようだった。
きっともっといいものを食べているのだろう。

先週も来院した旨を伝えた。
ウィルスの話もして、もらった薬もきちんと飲んでいてまだ残っている、
と言って鞄から取り出して見せた。
彼らは驚いていた。
要するに、前回の経過を知らない。

何なんだ、この病院は。バカだなあ。
医師はカルテを見るからちょっと待ってくれと言って、
少し席を外した。


医師は戻ってきて言った。
食中毒といっても、ウィルスとバクテリア性のものがあって、
治療薬が全然違う。

私は以前に同じ病院の別の医師に聞いて教わっていたので、
抗ウィルス薬と抗生物質だろ、と答えると、
また医者は驚いていた。
通訳も同様らしく、ひどくびっくりしていた。卒倒しそうだった。

医師は続けた。
前回採血と検便までして、処方した抗ウィルス薬を何日も飲んでいるのに、
まだ下痢が治っていないなんて理解できない、という。
彼が言うには、その時見つかったウィルスは、
自然治癒可能なレベルのものだったらしい。


彼らが何を言っているのか分からなくなってきた。
前回と今回は別の原因だろう。

医師と通訳は口をそろえてそうです、全く別のものです、という。

通訳が勢い込んで入院しますか!?と訊いてくる。
何で?
「では、そのまま帰りますか?」
待て待て、お前は何の脈絡で話をしているんだ。


まったく、どっちが医者なのかわからなくなってきた。

このあたりで、もう通訳は日本語が通じないので、
私はタイ語に切り替えていた。

私は、もう一回検便して見てみたらどうなんだ?と言った。
無理にトイレに行く必要を感じるレベルではないが、
5回目も多分まだ出るぜ。

医師はそれでも構いません、と言ったが、
あまり乗り気ではなさそうだった。


既に相手をする気がなくなっていたのだが、
医師は前回抗ウィルス薬を出したので、
それは飲み切ってもらって、今度は抗生物質を出す、と言った。

Air-Xというのはもう飲まないでくれ、と言う。
それは、飲まない方がいいということか?
「そうです」

今回はそれで帰された。
医師も、私のうんこなど強いて見たくはないらしい。

受付では、ガラガラにもかかわらず、
10分ほど待たされた。
今回も、費用の自己負担はなかった。


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今回もらった薬。
中央の茶色い袋のが抗生物質で、
上段の薬はポカリスェットの粉末。
左端のピンク色の薬が前回ももらった軽めの下痢止めで、
前回と今回の症状の差を強調するために、
これは効くよ、と褒めちぎったところ、また出してきた。
バカじゃないのかと思った。


帰宅後、心配して待っていた妻(事前に連絡はしていた)に
お粥を作ってもらって食べた。
食後薬を服用して、便意はあったのでトイレに座ったが、
もう何も出なかった。


妻があんぱんの賞味期限が切れていたのではないか、と言った。
確かに。そんなものは見なかった。

そういえば、売店によっては、「それは賞味期限過ぎてるよ」と教えてくれるところもある。
(我が社は広大で、売店と食堂が4か所ずつあり、それぞれ併設されている)

「特に、あんたのところの売店って、野ざらしでしょ?
(この時期タイは夏真っ盛りで、5分表にいれば汗が噴き出してくる)
きっと痛んでたに違いないわよ。
そんなもの食べちゃだめよ、ダーリン」

まあダーリンは言わなかったのだが、文脈で付け足しておいた。


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これが例のあんぱんの写真だ。
この写真は翌日にもう一度売店に行って、買ってきて撮影したものだ。
もちろん食べずに捨てたが、賞味期限内だ。
間違いなく翌日に新しく入荷したものではない。
この売店の菓子パンの入荷は週1で、それが木曜とか金曜のはずはないだろう。
週末はほぼ品切れになるからだ。

しかしそうすると、では何が原因だったのか?
前日の味噌カツか?
そういえば、菓子パンを食べる前、少し気持ちが悪いような気がしていた。
但しかすかにであり、空腹でエネルギー切れによるものだと思ったのだ。
なぜなら、よくある感覚だったからだ。
いやあ〜、前日の味噌カツの可能性は低いだろう。

上司には十分あり得るよ、と言われたが、
ついでにそれより犬とキスでもしたんじゃない?
とからかわれて思いついたのだが、

菓子パンの袋にごみでも付いていたとしか思えない。
或いは、具合の悪い従業員で袋に触ったやつがいて、
そいつの菌が付着したのかだ。

そういえば、売店の店員など、ろくに手洗いせずに色んな商品を触っているので、
そっちの方が怪しいかもしれない。

それとも、私自身の手が汚れていたとか。

いや、まだあった。
アイスコーヒーだ。
5/3に妻にセブンイレブンで買ってもらったアイスコーヒーを、
5/4・5は冷蔵庫に入れたまま、5/6・7で2日かけて飲んだのだ。
冷蔵していたとはいえ、中の牛乳が腐ったとか。

妻「あんたバカじゃないの?冷蔵してたんでしょ?
  私だってしょっちゅうやってるわよ。
  そうじゃなくて、あんぱんだって言ってるでしょう。
  賞味期限内でも、野ざらしだったんでしょう?」


さて、結局のところ妻の説が正しいのだろうか。
私と最も長時間共にいるゆえ、一番よく分かっているとしたら、
それは彼女だろう。

本当は検便してもらってウィルスかバクテリアか
何が原因なのか調べてもらいたかった。
大したことはなかったのでいいのだが。

神様みたいのがいるとしたら、
単に記事を書かせてくれた、ということなのかもしれない。

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