■2020年3月15日:デリンジャー
原題:DILLINGER (1983年イギリス) | |
著者:ハリー・パタースン(ジャック・ヒギンズ) Harry Patterson(Jack Higgins)/1929- イギリス生 |
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文庫初版:1990年11月30日 東京創元社 | |
初版時価格: 450円 | |
巻数:単巻 | |
品番:ハ2-1 (0048) | |
管理人読了日:2013年5月19日 | |
映画化:未 | |
映画題名:− | |
映画主演俳優・女優: | |
日本語DVD化: |
実は、ハンターが書くよりずっと以前に、
ヒギンズもデリンジャーものを書いていた。
それも、デリンジャーが脱獄した後、再び姿を現すまでに
どこで何をしていたのか、という話の振りぶりである。
この時期のデリンジャーの逃亡先として、メキシコに行ったという説があり、
ヒギンズはこれに材をとったわけだ。
ところで、ハンター作品でのデリンジャーは主役ではなく、
「Gマン 宿命の銃弾」はどちらかというと銃アクションが主体で、
プロットも無理なくデリンジャーら悪党の行動も、現実的な考証に基づいている。
一方、ヒギンズの「デリンジャー」は完全にヒギンズ型のヒーローで、
読む人間に本物のデリンジャーはこんな善人ではないだろう、と明確に思わせるものがある。
だが、それで良いのである。ヒギンズの作品はロマン重視なのだから。
さてストーリーをざっと紹介しておくと、
冒頭でこまごまとしたことが展開した後、デリンジャーはメキシコに逃げる。
ちなみに、車狂であることは史実通りだ。
メキシコで、「まっとうな銀行強盗」であるデリンジャーは、
「まちがいなく古今東西、一級の腐れ野郎」であるドン・ホセ・マヌエル・デ・リベイラなる
地元の有力者にはめられ、仕事を引き受けることになる。
リベイラの事業とは、金鉱山の採掘で、それをインディオの労働者にやらせているために、
監督者が必要だったのだ。
そのうちに、根っからの悪党であるリベイラは、悪行のつけがまわって、
アパッチ族のインディオから娘を誘拐されてしまい、
当然のことながらデリンジャーは救出の手助けをすることになる。
しかし、デリンジャーにはリベイラの姪で、美しいローズがいた。
ローズは叔父のリベイラを嫌い抜いていたから、
デリンジャーとローズが恋に落ちるのはわけなかった。
ヒギンズの手で、登場人物全てに命が吹き込まれ、劇的な終局を迎える。
全体としては「サンタマリア特命隊」に近いストーリーだと思う。
本書は史実としてのデリンジャーの性向などまったく匂わせていないが、
これぞ冒険小説といって不遜はない一作だ。
一風変わったデリンジャーの活躍をお楽しみあれ。
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