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■2020年7月19日:シバ 謀略の神殿

クリックして拡大  原題:SHEBA (1994年 イギリス)
 著者:ジャック・ヒギンズ
     Jack Higgins/1929- イギリス生
 文庫初版:1999年5月15日 早川文庫
 初版価格:600円
 巻数:単巻
 品番:NVヒ1-24
 管理人読了日:1999年12月20日
 映画化:未
 映画題名:
 映画主演俳優・女優:
 
 日本語DVD化:−
 

旧約聖書に、シバ、あるいはサバ王国、というのが出てくるらしい。
碑文や遺跡などが見つかっていないこともあり、
伝説と化している古代王国だが、
かのフラヴィウス・ヨセフス
(古代ローマ、ヴェスパシアヌス帝時代のユダヤ人歴史家)等が
言及していることからも、研究者たちの憧れの対象となっている。

場所は、南アラビアのどこか、とされており、
古代ローマはアウグストゥス帝の時代に、
軍を派してこの地方まで侵攻しているが、征服は諦めている。


このくだりを過去にも取り上げた作家がいるとはいえ、
この時のローマ軍将兵の生き残りがシバ王国の神殿を見た、
という説を題に採ったのがヒギンズだ。

舞台は第2次大戦開始前夜。
アメリカ人考古学者で、今はアラビアでちょい密輸っぽいことをして
生計を立てているギャビン・ケインは、ランチ(原動機付の小船、
といってもケインのものは船室もあるので、ある程度の大きさがあるもの)を
所有しそれで商売をしていた。

そんなところへ、同じく考古学者の夫を持つイギリス人女性、
ルース・カニンガムから探求に出たきり戻ってこない夫を探してくれ、
と相談を持ち掛けられる。

無報酬でもないので、これといって特に定職のないケインはこの申し出を受けるが、
小説なのでこれですんなりと話が済むはずはなく、
ケインは仲間と共にルースの夫探しに出る。

ケインにはこの辺で石油探掘をしているアメリカ人のジョーダン、
商事会社を営む若き女総帥で、フランス人とアラブ人のハーフである
マリー・ペレ(実はケインとできている)、といった仲間がいたが、
探索の過程でケインやマリー、ルースらは捕らわれてしまう。

ケインは軍に所属していたこともあるので別として、
カニンガムやジョーダンがなぜ銃に通暁しているのか、
というお約束の疑問はさておき、
彼らは困難をくぐりぬけ、シバの神殿に達する。
しかし、ここがヒギンズ小説の醍醐味で、
ケインもカニンガムも迷わず愛に生きることを決意する。

遺跡や歴史もすごいが、オレたちにはもっと大事なものがある、というわけだ。
しかも、マリーもルースもすごい美人ときたもんだ。


思えば最初にこの本を読んだのは20年前だったが、
20年後に再び手に取ってみて、その興奮がまったく衰えず
脳裏に蘇ったことに、しかもそれが「鷲は舞い降りた」の
上梓前であることに気が付き、
(本書は著者がショーン・ディロン・シリーズ刊行中に、
別作を焼き直して刊行し直したものらしい。
そう考えればノリにノッテいた最中の作品であり、傑作であるのもうなずける)
今さらながらヒギンズという作家の偉大さを思い知った。

最後に蛇足だが、本書にもイエメン・モカが登場する。
波乱の人生を送るケイン船長が、どこでそんな息抜きをしているのかは、
読んでのお楽しみ。


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